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遼州戦記 保安隊日乗 季節がめぐる中で 140

 嵯峨のカスタムしてくれたサブマシンガンを片手に誠はゆっくりと07式の残骸に近づいていった。
「そんなに警戒する必要は無いと思うぞ。この地域はほぼ制圧していたからな、反政府勢力も先ほどの光景を目にしていれば手を出してくることも無いだろうし」 
 そう言うのは警備部部長、マリア・シュバーキナ少佐だった。彼女の部下達も明らかにおびえている誠の姿が面白いとでも言うように誠の後ろをついて回る。原野に転がる07式の姿は残骸と呼ぶにしては破壊された部分が少ないように見えた。近づくたびに、肉が焼けたような匂いが鼻をつく。
 突然、その内部からの爆発で押し破られたコックピットの影で動くものを見た誠はつい構えていたサブマシンガンのトリガーを引いてしまった。
「馬鹿野郎!味方を撃つんじゃねえ!」 
 そう言って両手を挙げて顔を出したの要だった。安心した誠はそのまま彼女に駆け寄る。
「すいません……ちょっと緊張してしまって……」 
「フレンドリーファイアーの理由が緊張か?ずいぶんひでえ奴だな……見ろよ」 
 要には今、誠に銃で撃たれそうになったことよりも、コックピットの中が気になっていた。彼女にあわせて07式のコックピットを覗き込んだ誠はすぐにその中の有様に目を奪われた。
 その中には黒く焦げた白骨死体が転がっていた。ついていたはずの肉は完全に炭になり、全周囲モニターにこびりついているパイロットスーツの切れ端がこの死体の持ち主がすさまじい水蒸気爆発を起こしたことを証明していた。
「典型的な人体発火現象ですね」 
 誠は思わず胃の中のものを吐き出しそうになる衝動を抑えながらつぶやいた。人体発火現象は遼州発見以降、珍しくも無い出来事になっていた。それが法術の炎熱系能力の暴走によるものであると世間で認識されるようになったのは、先日の誠も参加した『近藤事件』の解決後に遼州同盟とアメリカ、フランスなどの共同声明で法術関連の研究資料が公開されるようになってからの話である。
 人間の組成の多くを占める水分の中の水素の原子組成を法術で変性させて、水素と酸素を激しく反応させて爆発させる。この能力は多くは東モスレムなどのテロリストが自爆テロとして近年使用されるようになっていた。コストもかからず、検問にも引っかからない一番確実で一番原始的な法術系テロだった。
「ひでーな。こりゃ」 
 誠が見下ろすと小さな上司、ランがコックピットの中を覗き込んでいる。
「クバルカ中佐。法術防御能力のある07式のコックピットの中の人物を外から起爆させることなんてできるんですか?」 
 誠は小さな体でねじ切れた07式のハッチについたパイロットスーツの切れ端を手で触っているランにたずねてみる。
「理屈じゃあできないことじゃねーけどさ。広範囲の法術がすでに発動している領域にさらに介入して目標を特定、そして対象物を起爆させるってなれば相当な負荷が使い手側にもかかるわけだが……。でもこの有様じゃあそれをやってのけたわけだその怪物みたいな法術師は」 
 ランが感心しながらコックピットの上のモニターに乗って後ろ向きに中を覗き込む。
「あとは技術部の仕事になりそうだな。見ろ」 
 隣で狙撃銃を肩から提げて振り返るマリアの視線の先にはゆっくりと降下してきている『高雄』の姿があった。
『みんな無事?大丈夫なの?』 
 通信機から艦長であるリアナの心配そうな声が聞こえてくる。
「ああ、大丈夫だ。うちは足首を捻挫した馬鹿が一名出ただけだ。それと……」 
 マリアががけの下をのぞき見ると駆け足で駆け寄ってくるカウラの姿があった。
「第二小隊は全員無事です。それに東和陸軍の三人の協力者も」 
 カウラの言葉にコックピットの上に乗っかっているランも頷いた。

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遼州戦記 保安隊日乗 季節がめぐる中で 139

「ずいぶんと変わった兵器を開発したものですね」 
 そう言って片膝をついて桐野孫四郎は、地平線から黄色い泡のようなものが立ち上る地平線を見つめていた。空は白み始め、現在降下中の同盟軍の救命部隊と治安維持部隊がこの地域にも多数派遣されると思うと桐野の表情は冴えなかった。
「いいのですか?これではあの茶坊主の思う壺じゃないですか」 
 桐野の声は明らかに不満を込めたものだった。茶道の師範でもあるところから『茶坊主』と言われることもあるかつての上官嵯峨の高笑いを思い出し、桐野の表情が曇る。
 だが、彼の前に立つ長髪の大男はそのようなことはどうでもいいとでも言うように黙ってあわ立つ地平線を眺めていた。桐野は目の前で微笑んでいるこの現在の雇い主の素性には興味は無かった。ただ人が斬れると彼の後ろでチューインガムをかんでいるアロハシャツの男、北川公平に誘われたからこの地にいるだけだった。
 だが見せられたのは桐野のかつての上官の指揮する保安隊の活躍と新兵器の威力だけだった。
「桐野君。君はやはり人斬り以上にはなれないようだね」 
 長髪の男は低い声でそう桐野を評した。そのあざけるような調子に桐野は腰の刀に手を伸ばす。だが、その時振り向いた男の目に桐野は背筋が凍った。哀れむような瞳だが、そこには何の感情も無く、ただ強者が弱者を見つめる時の圧倒的な自信の裏打ちだけがあった。
「この兵器は役に立たないと思っているだろうな嵯峨君は。見たまえ、法術兵器に対応した装備を備えている遼南の投降兵の07式のパイロットは干渉空間を展開してこの攻撃を避けることができたじゃないか」 
 空が次第に薄明に染め上げられていく中、再び地平線に目をやる長髪の男。着陸した輸送機に破壊された07式を積み込んでいる保安隊の様子を見ながら彼は満足げに笑っていた。
「つまりだよ、この兵器の対処法などすぐに開発されることは確実なんだ。おそらく嵯峨君はそれを見込んでこの事件にあの兵器を投入したんだろうね。切るべきタイミングで思い切りよくカードを切れる。彼は優秀なギャンブラーになれるかもしれないな……彼は。」 
 噛んで含めるようにつぶやく男。そう言われてしまうと桐野は何も言い返すことができなかった。
「ですが、わざわざ嵯峨に手柄を与えて奴の提唱する遼州同盟の権威が向上すれば厄介なことになるんじゃないですか?同盟が我々の意図の気づけば必ず先頭に立ってくるのはあの連中ですよ。自信をつけてきた素人ほど厄介な敵はいませんから」 
 そう言ってみる桐野だが、彼の雇い主はそんな言葉を鼻で笑い振り向くこともせず話し始めた。
「同盟の権威向上?良いじゃないか。私もこの星で生まれた存在だ。その権威が向上していつかは地球とごしていけると考えるとすばらしいことだと思うよ。まあ、嵯峨君と私の考えの違うところは彼が地球と同格の存在にこの星をしようとしているのに対して、私はそんなことでは不十分だと感じていると言うところだ」 
 そう言って男は笑っている。明らかに自分のような暴力馬鹿を軽蔑しているような調子で話す男に桐野は面白いはずが無かった。だが、彼は見てしまっていた。
 07式が保安隊三番機に捨て身の攻撃を仕掛けた時、この男は遥かに離れた距離にある高速で移動中の07式のコックピットの内部に干渉空間を展開させそれを炎上させた。
 おそらくパイロットは自分が燃え尽きようとしていることを気づく時間も無く消し炭になったに違いない。その正確無比な力の制御と二つの力を極力押さえつけながら目的を達成する判断力。確かにこの男はあの桐野にとっては軽蔑すべき転向者である嵯峨以上の力を持っているのは間違いなかった。
「太子。まもなくこの付近には『高雄』の先発隊が到着する予定のようです」 
 二人のやり取りを薄ら笑いを浮かべてみていた北川の言葉に『太子』と呼ばれた長髪の男は振り返った。
「なら我々は消えるとしよう」 
 静かにそう言った『太子』と呼ばれた男の周囲が光で包まれた。そして上り始めた朝日が彼らの周りを照らそうとする瞬間。三人の人影が消えた。
 その上を巡航速度で飛行している『高雄』は彼らの存在を知ることも無く、作業中の第二小隊回収のための先発部隊を発進させていた。

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遼州戦記 保安隊日乗 季節がめぐる中で 138

「行けー!」 
 誠の叫びと共に目の前の赤く光る空間を炎が飲み込むように周囲を真っ赤に染める。進んでくる敵機も、足元のマリア達警備部の兵士達もすべてが赤く染まる。それだけではなかった。逆流するように誠の機体の後ろにも赤い炎は広がり、旧式のM5やM7の動きが引きつったように大きく跳ね上がった直後に力なく地面に倒れこんでいく。
 だが、目の前の07式は一瞬ひるんだだけで赤い炎の中を誠に向けて突き進んできている。サーベルが振り上げられ、誠はただ砲身を抱えたままでそれを受けるしかないように思った。
 だが、不意にその07式が止まった。次の瞬間、コックピットの中から破裂するように装甲版がめくれあがり、そのまま誠の機体を避けるように倒れこんで動きを止めた。
 誠はそのようなことを無視してひたすら指定範囲に効力が発生するように機体のバランスを保った。そして地図上の効果範囲は次第に赤く染まり、それがすべてを多い尽くした時、次第に法術兵器の砲身はその赤いきれいな光を弱めて行った。
「ふう……」 
 ようやく終わった。そう言うように誠はシートに体を預けてため息をついた。そして同時に着陸して07式の隣でライフルを構えているランのホーン・オブ・ルージュに目をやった。
「クバルカ中佐……」 
『言いてーことは分かるよ。だがそれはアタシ等の仕事じゃねーんだ』 
 ランも気づいていた。誠が目の前に07式を見つめた時、明らかにその機体を捕捉している法術師の気配を感じていた。その力の感覚は先日アイシャと喫茶店でお茶を飲んだ時に感じた法術師の雰囲気と似すぎていた。
『そんな悠長なこと言ってられるのかよ!普通じゃねえぞ!こんなところでわざわざ法術を使うなんて全うな市民のすることじゃねえ!テロリストかなんだろ。すぐに追っ手をかけてだなあ』 
『西園寺大尉!現状の確保を指示します。速やかに当該地域の敵勢力の排除しなさい』 
 アイシャの声が高らかに響いた。画面の中でサイボーグ用のゴーグルを無理やりはがして頬を膨らましている要。誠も要の気持ちが痛いほど良くわかった。
『隊長命令だ。西園寺、07式を回収しろ』 
 淡々とした調子でカウラが要に命じる。
『カウラちゃんは甘いわね。まあいいわ。すでに『高雄』はこの空域に進行中よ。積荷は食料と医薬品など、これから法術兵器の効果で倒れたあらゆる人命の救助を担当することになるわ。法術兵器の効果についてはすべての観測地点で十分なアストラルダメージ値を観測しているから私達の仕事はこれで終わり。そのデータの調査はシュペルター中尉のお仕事だもの』 
 アイシャはそう言うとそれまでの緊張した面持ちから変わって、柔らかい視線を誠に向ける。
『本当にこれで終わり?なんだかあっけないな。それに実際の効果が出てるかどうかは見てみないと分からねえんじゃねえのか?』 
 すでにタバコをくわえている要を見ながら誠も頷いていた。
『ああ、それなら大丈夫よ。サラが一目でわかるデータを送ってくれたわ。見る?』 
 アイシャはそう言うと画像を一枚転送してきた。
 そこにうつっていたのは失神する技術部整備班長島田正人准尉の姿だった。周りの部下達は倒れて泡を吹く上官の顔に落書きをしている。
『あの馬鹿、実験してみるとか言って干渉空間遮断シェルターから出てモロに誠ちゃんの攻撃を受けてみたみたいなのよ』 
 呆れたように笑うアイシャ。要は二枚目の画像で真正面から捕らえた島田の表情がつぼに入ったのかタバコを吐き出して笑い始めた。誠もあとで確実に告げ口されるだろうとは思いながら、いつもはクールな兄貴を気取っている先輩の島田の間抜けな失神した顔に声を上げて笑い始めていた。
『任務完了!第二小隊撤収!』 
 安堵したような笑顔を浮かべているカウラの一言に誠は敬礼をした。

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遼州戦記 保安隊日乗 季節がめぐる中で 137

 誠は山並みに機体を無事に着陸させる。いつもの危なっかしい着陸を見せられている警備部の面々は、そんな誠に賞賛の拍手を送った。タクティカルベストに小銃のマガジンを巻きつけた兵士達の笑顔もモニターに映っている。すぐさま誠はコックピット座席の後部からボードを引き出し、模擬戦で何度と無く叩いたコードを入力していく。
「効果範囲ビーコン接続作業開始!法術系システムを主砲に充填開始!必要時間……2分!」 
 同じくマリアの部下の誘導でカウラの機体が着陸する。
 法術兵器の出力ゲージが臨界点に近づいていく。だが、これで三度目と言う射撃の効果範囲は最大300kmと言う範囲である。演習場での範囲が30kmだったところから考えればそれは明らかに広すぎる範囲だった。
「ヨハンさんも認めてくれたんだ。行ける!いや、やるんだ!」 
 静かにつぶやく誠。足元ではマリアの部隊が向かい側の稜線に向けて射撃を開始していた。
『すまない神前。また渓谷沿いに待機していた敵アサルト・モジュールが起動したとの連絡だ……』 
「大丈夫ですよ、カウラさん。僕は一人でやれますから」 
 レーダーを見る余裕も誠にはなかった。それどころか次第に全身から力が吸い取られていく感じに誠は戸惑っていた。それは目の前で赤く輝き始めた法術兵器の銃身に命が吸い取られていくような感覚だった。
 カウラはマリア達が射撃を続けている山並みから現れたアサルト・モジュールに向かってエンジンをふかす。
『やばいわよ、あれは遼南帝国軍の機体!まったく本当に役に立たないどころか邪魔以外の何者でもないわね、遼南は!』 
『そんなことははじめから分かってたことだろ?アイシャ!降伏した遼南軍のデータをよこせ!』 
 アイシャと要のやり取りも、今の誠には他人事のように感じられた。遼南軍の弱さは誠も知っている遼州ジョークのひとつだった。だがそんなことを考える余裕は誠には無かった。
 目の前に輝く赤い砲身。そこから発射される思念介入粒子にすべてをかける。誠に今できるのはそれだけのことだった。
「エーテル波正常。アストラルリンク、第四段階までクリアー!」 
 誠はただ何も見えない空間に伸びる銃身だけに神経を集中する。カウラの表情が誠のモニターの中で歪んでいるのがわかる。彼女を苦戦させる敵に誠は一瞬レーダーに目をやった。そこに光るのは遼南軍のアサルト・モジュールの識別信号を出している敵機だった。
『パルチザン化か!まったく遼南軍にはプライドが無いのか?』 
『いまさら何を言っても仕方が無い!あと少し……』 
 カウラの刺のある言葉、マリアの願うような叫び。誠の視線は臨界点に近づきつつある法力ゲージに視線を移した。
「カウント!テン!ナイン!エイト!セブン!……」 
 自動的にカウントを開始する口。誠は機体と自分が一体になっていることを感じた。砲身は血を思わせる暗い赤色から次第に灼熱の鋼のようなまぶしい赤に色を変えつつあった。もう止められない。誠はそう思いながら精神を集中する。
『範囲指定は完璧だ!行け!』 
 マリアの言葉に誠は目の前の地図に浮かぶビーコンの位置に精神をさらに高揚させる。次第に目の前の空間が桃色に光り始め、そこからあわ立つように金色に光る粒が地面からあふれ出てくる。
 そこに突然光りだす地表から生えてきたとでも言うように黒いアサルト・モジュールが姿を現したのに誠は叫びを上げるところだった。法術対応型の証の様に干渉空間を展開しながら一気に誠の機体に距離を詰めていく。保安隊の05式と同じようなフォルム。そして動きの切れはM7などとは違い明らかに最新世代のアサルト・モジュールの動きだった。
 さらに近づくたびに肉眼でも見える干渉空間を展開している敵は、M7などを改造した取ってつけた法術対応型のなどではなく遼南正規軍配備の最新の機体であることを示していた。
『なんだと!新型?07式?聞いてないぞ』 
 通信機から要の声が響く。だが、誠はすでに法術非破壊兵器の発射体勢に入っていた。
『誠!』 
 要が叫ぶ!
『誠ちゃん!』 
 アイシャの悲鳴。
『誠』 
 カウラは言葉を飲み込んだ。
『間に合え!』 
 ランは一気に機体を降下させた。
 誠の目の前で07式がサーベルを振り上げて向かってくるのが分かった。
 だが、誠は操縦棹の先の法術兵器の起動ボタンを押すこと以外何もできなかった。

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遼州戦記 保安隊日乗 季節がめぐる中で 136

「やっぱり付いてくる……二機」 
 誠は自分の機体の武装を確認する。両腕が法術兵器でふさがっている以上、本体の固有武装に頼るしかなかった。ミサイル系ならば旧式のM5ならどうにか対抗できるが、05式と一つ世代の違うだけのM7に出くわせば目くらまし程度の効果しか期待できない。
「逃げおおせればいいんだ」 
 自分に言い聞かせる誠だが、明らかに全身の筋肉が硬直していくのを感じている。
 そんな脳裏によぎるのは最悪の展開を見せた場面ばかり。練習試合のサヨナラ死球。サードの守備の隣を抜けていく白球、そして肩に違和感を感じた大学四年の春のマウンド。一度ネガティブになった心に鼓動が高鳴る。そして視線はレーダーの中で接近を続ける二機の敵アサルト・モジュールの信号に吸いつけられた。恐怖。心はその言葉で満たされて振り回される。
「やっぱり無理ですよ……僕には……」 
 アイシャに聞かれているにもかかわらず誠は自然にそうつぶやいていた。
『そうね、そんなに心が弱いようじゃこれから生きていくのも難しいかも知れないわよ』 
 頭の中で言葉がはじけた。それは通信システムを通して発せられたものではなかった。
「アイシャさん!」 
 誠は叫んでいた。
『言いすぎだぞ!アイシャ。誠!アタシは信じてるからな!お前の根性見せてみろよ!』 
 次に響いたのは要の声だった。誠は我に返り、モニターでも捉えられるようになった二機のM5の姿に視線を移す。
『やれるはずだ。お前は私達の希望だからな』 
 カウラの声に誠は口元をぎゅっと引き締めた。
「格下相手ならこれで十分!」 
 三人に火をつけられた誠の心。むやみにレールガンを乱射するM5の弾道はすべて誠が無意識に形成していた干渉空間にはじかれる。
「こっちも丸腰じゃないんだ!」 
 雄たけびと同時に誠は全ミサイルを先頭に立つM5に向けて発射した。
 ミサイルは一斉にM5を捉えてまっすぐ突き進んでいく。方向を変えようとしたM5の上半身に降り注いだミサイルの雨に形も残さないほどに砕け去る敵。僚機を失って残りのM5はひるんでいるのが誠の目にもわかった。レーダーに映る敵影は要、カウラ、ランの活躍により次第に数を減らしていく。
『神前!早くしろ。予定時刻より1分以上遅れているぞ!』 
 通信に割り込んできたのはマリアだった。漆黒の荒涼とした山並みの中に光のサインが見える。
「一気に行きますよ!」 
 そう言うと誠は法術非破壊砲のバレルを展開させながら一気に山を一つ飛び越え着陸地点を確保しているマリアの隊に合流を果たした。

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