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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 20

「ふざけてないで行くぞー」 

 ランはそう言うと一挺の青いショットガンを手に取る。カウラもアイシャも静かにそれを手にした。

「おめえはどっちにする?」 

 要は手にしたセミオートマチックショットガンとポンプアクションショットガンを誠に手渡した。

「僕はこっちが慣れているんで」 

 そう言うと誠は迷わずポンプアクションショットガンを選んだ。

 部屋を出ながらまじまじと銃を見る。毒々しい青い色が異様だった。考えれば使用弾薬が殺傷用のバックショットやスラグが入っているのと低殺傷能力の布製弾が入っている銃に見分けをつけるのは合理的だがそれにしても明らかに毒々しく塗られた銃は異様だった。

「おっと皆さんはお出かけですか?」 

 誠の専用機の05式の右手の解体作業を仕切っている島田が声をかけてくる。

「おー、ちょっくら鴨撃ちだ」 

「冗談よしてくださいよクバルカ中佐!」 

 ニヤニヤ笑いながらボルトを磨いていた部隊で二人しかいない十代の隊員西高志兵長が叫ぶ。

「くだらないことばっかり言ってるとボコにすんぞ!」 

 要の脅しに西の後ろで端末をいじっていたアメリカ海軍からの出向技官のレベッカ・シンプソン中尉が西の前に立ちはだかる。

「お暑いことで!おっぱいお化け!」 

 いつもレベッカの豊かな胸に嫉妬している要が叫ぶのを聞くと今度はアイシャが笑い出した。

「なんだよ!」 

「いやあ、要ちゃんの反応がいつもどおりで平和だなあって思っちゃったから」 

 そう言うとアイシャは手にしたショットガンのフォアードレバーをガチャガチャと動かして見せた。

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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 19

「開いてますよ!」 

 キムの声が響いたのでランは先頭になり部屋に入った。

「これかよ・・・」 

 先に入った要の声に少し興味を持ちながら続いた誠だが、そこに待っていたのは明るい青色の樹脂でできたショットガンが並んでいる光景だった。

「模擬弾使って射的ごっこか?つまらねえな」 

「模擬弾とは失敬な!一応鎮圧用の低殺傷弾入りのショットガンですよ」 

「威力が半端なだけになお悪りいや」 

 頭を掻いて銃に手を伸ばす要。誠はオレンジ色の派手な弾薬の箱に目を向けていた。

 一応司法執行機関と言う保安隊の名目上、当然暴動や治安維持任務には低殺傷能力の武器の使用も考慮されており、それに適した銃も抱えていたところで不思議は無かった。事実、以前ベルルカン大陸での選挙監視活動で第四小隊と随伴部隊が現地で活動した際の映像にも目の前の青いショットガンを抱えて警備に当たる島田達整備班長の姿を眼にしていた。

「これってどれくらいの威力があるんですか?」 

 弾の入っていないショットガンを手に弄り回している要に尋ねる誠。振り返った要の顔は明らかにがっかりしたような表情に変わっていた。

「あのなあ、そんな子供がエアガン買うときみたいなこと言うなよ。名前の通りの威力だ」 

 そう言うと静かにガンラックにショットガンを戻す要。その隣ではこの小火器管理を担当する隊の隊長であるキムがバスケットにオレンジ色の弾薬を入れているところだった。

「まあ当たり所が悪くない限りは打撲ぐらいで済むだろうな・・・何ならお前が的になるか?」 

「いい事言うじゃねえか。じゃあ防弾プレート入りベストを貸してもらってお前は標的役を・・・」 

「西園寺さん!ふざけないでくださいよ!」 

 本当にやりかねない要を見ながら誠は泣くような調子で叫んでいた。

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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 18

 そのまま廊下を進んでいくアイシャ。ぞろぞろとその後ろを要、誠、カウラにランが続いていく。

「制圧用の火器ってガス弾ですか?」 

 誠の問いにいかにも不機嫌そうな顔をして要が振り向く。

「そんなもん機動隊の仕事だろ?うちはもっと非常事態に適したのを使うんだよ。そもそもショットガン撃ちが言うことじゃねえぞ、そんなこと」 

 それだけ言うと満足したように足早に実働部隊詰め所と管理部の前を通り過ぎハンガーの広がる景色を見ながら階段を下りる。

 ハンガーは先月押し付けられた新型機のテストがいまだに続いていた。主に運用レベルでのメンテナンス手順の確認作業だということで中央で技術部の技師、島田正人准尉が指示を出しながらつなぎをきた隊員達が冷却用ポンプを担ぎながら走り回っている。

「お疲れさんです!」 

 誠は寮長を兼ねている島田に頭を下げた。島田はそれを見るとにんまりと笑いながら駆けつけてきた。

「おっ!皆さんおそろいで。キムの野郎のところですか?」 

「なんだよ、お前等には関係ねえだろ?」 

「西園寺さん。あれは次にはうちの餓鬼どもに撃たせる予約が入っているんですよ」 

「へえ、お前等もあれを撃つのか?」 

 要の声に頭を掻いて周りを見回す島田。

「おい!西園寺!」 

 ランの叫び声につられてそのまま要は島田を置いて技術部の詰め所が入っている一階のフロアーに駆け込んだ。

「技術部の人もやるんですか?」 

 誠の問いにただニヤニヤ笑うだけの要。そして先頭のアイシャは小火器の管理を担当するキム・ジュンヒ技術少尉が主を務める技術部第二分室の扉のドアをノックした。

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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 17

「どうでも良いけどよう。要するに能力を持ってる奴の能力を勝手に使うことができる能力の持ち主がいる・・・って結構やばいことなんじゃねえの?」 

「そりゃーそうだろ。だが元々法術自体が表ざたにされていない状況ではそんな能力を持っている奴も一生法術とは無縁で暮らせたのが半年前の神前の能力を見たおかげで目覚めちゃったってーわけなんだな」 

 ランのまとめにヨハンが頷く。そしてどうしようも無い重い空気が会議室中に流れた。

「皆さーん!元気して・・・無いわね」 

 突然の乱入者は予想通りアイシャだった。

「なんだ?オメーがここに来る用があるのか?」 

 当然のように重い面持ちのランの言葉に入り口で氷ついたようになるアイシャ。

「いやあ・・・キム少尉が制圧用兵器の試写を要ちゃんに頼めないかって言われて・・・」 

 真剣なランにはさすがのアイシャも言葉をぼろぼろと転がすように吐き出すしかなかった。だがすでに要はやる気十分で立ち上がっていた。

「ぐだぐだ考えるのはちっちゃい姐御とデブに任せるわ。アタシは自分のできることをするよ」 

「ほー、言うじゃねーか。まあ一応気にかけといてくれってことだ。今回の事件は法術がらみだが初動捜査が東都警察が仕切っているからな。アタシ等の出る幕がねーほーがいいんだ」 

 そう言うと興味心身で立ち上がるラン。ヨハンは自分の講義が中途半端に終わったことが不満なようで手にした小さなディスクを机の腕でくるくると回している。

「おい!オメエ等も来いよ!」 

 入り口で叫ぶ要を見てカウラと誠は顔を見合わせた。

「アタシも行く!俊平は?」 

「俺はちょっとヨハンの旦那に確認することがありそうだからパスだ」 

 そう言って胸のポケットからコードを取り出して首筋のジャックに刺す吉田。納得したようにシャムは立ち上がって要について出て行く。

「オメー等も来い。こっちの実演の方がアタシ等には重要なんだから」

 戸惑っていた誠とカウラにランが声をかけてきたので二人は渋々席を立った。


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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 16

「それじゃあ私がその力を得ても良いわけだな?」 

 今度はカウラだった。説明するだけ面倒だと言うようにヨハンはニヤリと笑って頷く。

「まあそれじゃーいくらでも法術師は増えるわけだな」 

 ランのまとめで次の話題に移る所だが、すぐにヨハンは首を振った。

「違いますね。そここそが一番今回現れた犯人の能力である『他能力制御』の肝ですから」 

 そう言うとヨハンはモニターの画面を切り替えた。そこには各能力とその能力がどのように発動するかの図が載せられていた。

「多くの法術は視床下部のこの部分の異常活性化を原因としていると言う説が現在定説ですが、この・・・」 

「御託はいーんだよ。さっきの話の決着つけてくれ」 

 小さいランの一言に研究者としてのプライドを傷つけられたと言うように大きく深呼吸をするヨハンの姿は実に面白くて誠は噴出しそうになるのを必死にこらえた。それはすぐにヨハンに見つかり、冷ややかな視線が誠に集中した。

「手っ取り早く言うと法術師の法術発動の際の特殊な脳波は周りの人々の脳波にも影響を与えるんです」 

「で?」 

「逆に法術を常に待機状態にしている法術師に同じように脳波での刺激を与えれば法術は本人の意図と関係なく発現し・・・」 

「その脳波を発した人物。演操術師の意のままに発現するってーわけか」 

 ランの顔が引きつる。

「つまりあれか?ほとんどの能力の乗っ取りが可能なわけなんだな?」 

 珍しく真剣な表情の要。その問いにヨハンは大きくうなづいた。

「再生能力なんかの接触変性系の法術以外は発動可能です」 

「接触変性?」 

 シャムはそう言うと周りを見回す。しばらく頭を掻いた後で要がシャムの鼻を突付いた。

「お前や島田の再生能力のことだよ!再生や治療系の能力は直接触ってねえと駄目なの!」 

「ああ、そうなの!」 

 分かっているのか分かっていないのか分からない調子で元気よくシャムが叫ぶのが部屋に響いた。

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