スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

遼州戦記 保安隊日乗 時は流れるままに 181

「じゃあ……行くよ!」 
 そう叫ぶとシャムは銃を振り上げる。鉄紺色の銃身の短いリボルバーは人差し指を軸に、くるくると彼女の手の中で回転していた。思わず拍手をする整備員達の様子を知るとさらにその回転は加速していく。
「ほう……」 
 感心しているのか呆れているのか。まったくどちらとも付かない表情のカウラ。シャムはそれを見るとすばやく右腰にあるホルスターに銃を叩き込んだ。警備部員や運行部の女性士官もそれには一斉に感心したと言うような拍手を送った。
「なんだ?ウェスタン公園にでも就職するのかよ」 
 こちらは明らかに呆れている要。それを見るとアイシャはつかつかとシャムの横まで歩いていく。
「ちょっと見せて」 
 アイシャの言葉に頷いたシャムが銃を手渡す。先日見た青みを帯びた黒い銃が冬の日差しに輝いて見える。しばらく手にとって眺めた後、アイシャはキムに振り返った。
「ジュン君。これ全部ブラックパウダー弾?」 
「違いますよ。さっきのでおしまいですから」 
 そう言うとしばらくシリンダーを見つめていたアイシャが大きくため息をついた。彼女の手は普通のリボルバーのようにシリンダーを引き抜こうとするがまったく動く様子が無い。
「これって……どうやって装填するの?と言うか撃った薬莢を取り出そうって言ったって……」 
 全弾撃ちつくしているらしくしばらくじっと短い銃を眺めていたアイシャ。それを見たシャムが満面の笑みを浮かべている。
「ああ、ちょっと貸してね……ジュン君、これ借りてもいい?」 
 シャムはそう言うとテーブルの上にあったドライバーを手にして銃の劇鉄を少し押し下げる。そのままシリンダーの後ろのブロックが開く。そしてそこに開いている穴にドライバーを突き刺して薬莢を取り出した。
「面倒だな」 
「使い物にならねえじゃねえか」 
 カウラと要の意見ももっともだった。シャムはようやく二発の薬莢を取り出すことに成功して次の薬莢を取り出すべくドライバーを持ち直す。
「そりゃあ西部劇みたいに六発以上撃ちまくるわけには行かないですからね、現実問題」 
 キムの一言にムッとしたように顔を上げるシャム。不器用にドライバーで自分の銃と格闘しているシャムを見ながらキムは必死になって笑いをこらえていた。
「だから二挺拳銃なんですよ」 
「キム。そりゃわかってるんだけどさあ。相手が多弾数のオートで襲ってきたらどうするんだ?」 
 要の問いに意味がわからないと言うように首をひねるキム。だが、すぐに要は彼の考えを理解してキムの肩に手を乗せる。
「そうだな。あいつの拳銃はただの錘だからな」 
「ひどいんだ!そんなこと言うと撃たせてあげないぞ!」 
「おもちゃじゃねえんだ!誰が触るか!」 
 要はそう言ってへそを曲げるが、シャムの隣に立っているアイシャはキムの前に置かれた弾薬の箱に手を伸ばしていた。

FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト

テーマ : *自作小説*《SF,ファンタジー》
ジャンル : 小説・文学

コメント

Secret

プロフィール

ハシモト

Author:ハシモト
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。