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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 154

水島勉は第六感というものを信じないリアリストだと自分を思っていた。

図書館にも例のアメリカ大使館とつながりがあると言う少年は現れなかった。そしてその帰り道、自転車で走っていても特に彼に注目する人などいないことは分かっていた。

だが明らかに何かに監視されているような感覚はあった。

『まさか・・・法術絡みの件となれば・・・警察には捜査権限は無いはず。たとえ立件できても起訴まで行くかどうか・・・』 

商店街の上のアーケードが冬の北風を受けてばたんばたんと唸りを上げる。だが気にすることなく水島はペダルをこぎ続けた。

周りには法術師の気配は無かった。

『力がある人間がいなければ俺も無力なんだな』 

自分の能力を思い出し、少しばかり自虐的な笑みを浮かべた。

その時だった。

一瞬だが明らかに以前の法術暴走で死んだ被害者と同じ力のある法術師の存在を感じた。背筋に寒いものが走りペダルを踏んでいた足がずれて思わず転倒しそうになるがなんとか自転車の体勢を立て直した。

「・・・大丈夫ですか?」

目の前の『あまさき屋』と言うお好み焼き屋の暖簾を出していた女子中学生に声をかけられる。

「は・・・大丈夫・・・大丈夫ですよ」 

何とか言い訳をするがそこで力の源となる法術師の気配が残像であることを理解した。

『この店・・・例の空間干渉能力者が通い詰めているのか?』 

黙ったまま店を見上げた。実に普通の三階建ての建物があるだけ。少女は呆然と水島が自分の店を眺めているのを見つめるだけだった。

「本当に大丈夫・・・」 

「大丈夫ですよ」 

少女が手を伸ばすのを振り切ると水島は再びペダルをこぎ始めた。

『確かにいるんだな・・・あの空間を切り裂く感覚と・・・死に行く恐怖の感覚・・・』 

沈黙を続けながら水島はペダルをこぐ足に力を入れた。


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