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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 161

しばらくアパートを見上げた。

桐野孫四郎は周りに人の気配が無いのを察すると紙の筒のふたを開けた。そこには彼の愛刀『関の孫六』が入っていた。朱塗りの鞘を静かに払うとそのまま階段を登る。

法術の気配は無かった。他にも人の気配自体が無い。先ほどまでの桐野の脳髄を刺激するほどの力の存在はすでに消えうせていた。

「時間だな」 

そう言うと桐野は一番手前のアパートの扉に体当たりをした。

「うわ!」 

飛び込んだ部屋の中に一人のうだつの上がらない中年男が腰を抜かして倒れている。

「失礼するよ」 

そう言うと桐野はそのまま土足でアパートの一室に上がりこんだ。男はただ震えながら桐野を見上げている。その手にしている引き裂かれたノートが何かをその貧弱な男が決意したことを示しているように桐野には見えた。

「水島・・・勉さんだね」 

自分の間合いに入ったところで静かに桐野は男に尋ねた。そのいかにも平和に慣れ親しんできたと言う水島の表情に怒りのあまり斬殺したくなるのをようやくとどめていた。

「そう・・・ですけど・・・あなたは?」 

突然の闖入者だと言うのに追い出そうなどとは思えずに震えている水島。哀れでもあり同情もするが桐野にはそれを言葉にするつもりは無かった。

「なんだ・・・旦那。先にはじめちゃったんですか?」 

入り口の壊れたドアを呆れたように見つめている男がさらに現れた。その革ジャンと洗いざらしのジーンズには水島もこの絶望的な状況を救ってくれる人物に見えたと言うように恐怖で出せない声を振り絞ろうとする。

「さっきまでいたのは・・・どこですかね?ゲルパルトのネオナチの旦那達・・・東モスレムの原理主義者連中・・・それとも?」 

革ジャンの男の口ものが不気味に笑みに飲み込まれる。その様を見て水島はその革ジャンの男の方が信用に足らないと言う事実に気が付いて絶望して振るえることしかできなかった。


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