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遼州戦記 播州愚連隊 23

「なあに、西園寺派が倒れればそれに見合う領邦を俺に差し出すっていうつもりでしょ?清原さんは」 
 淡々と答える嵯峨。それを別所は冷たい目で見つめる。
「こんな紙切れが行きかっているとして今回の状況をどう運ぶおつもりですか」 
 怒りをこめた別所の言葉に白々しくおびえたふりをする嵯峨。
「怖い顔したってどうにもならないんだけどな。ただ烏丸さんや保科さんに会って分かったことは俺にゃあもう手を上げるしかねえってことだな」 
 そう言うと嵯峨は杯を干した。
「おい、お前がそないなこと言ったら……嵯峨家が終わるんちゃうか?」 
 赤松の言葉に悲しげな表情を作る嵯峨。それが本心からのものかは明石にも分からなかった。
「だってしょうがないだろ?この国の制度を根本から変えるにはどちらかが倒れるしか無いんだ。強力な指導体制により制度を根幹から変革することで国家の発展を目指す。これは俺もやったことだが人に勧めるつもりはないが、それ以外に今の胡州に選択の余地が無いことは理解しているつもりだよ……だがねえ……」 
 嵯峨はそう言うとタバコを取り出した。灰皿がこの屋敷に無いことを知っている別所が何か代わりのものを探そうとするが、嵯峨は手で押し止める。
「ああ、携帯灰皿を持ってるんだ。俺は昔から肩身の狭い愛煙家だからな」 
 そう言ってポケットから金属の小さな円盤を取り出す嵯峨。
「ああ、そうだ。貞坊には会ったのか?」 
 赤松の言葉にしばらく別所と明石は呆然とした。
「一般受けしない呼び方は止めとけよ。安東貞盛大佐殿だろ?会ったよ」 
 嵯峨の言葉に沈黙に包まれる。明石も黙り込んだ。赤松の妻が安東大佐の姉であり、安東の妻が赤松の妹。その複雑な事情を考えれば言葉を繰り出すのが難しかった。
「アイツは本当に融通が効かねえ奴だな。まあ昔からだけどな」 
 そう言ってしばらく考え事をしていた嵯峨。そこにふすまの外に人の気配を感じた。
「康子か?」 
 西園寺の声にふすまが開く。そこには下女が一人目の前にすき焼き鍋を置いてかしこまっていた。
「おう!待ってたんだ」 
 嵯峨の言葉に合わせるように変わった円盤を持った康子が現れる。
「あの、それ……」 
「電熱器。知らないでしょ」 
 そう言う康子は非常にうれしそうに両手に持った電熱器を別所の前と夫の基義の前に置く。二人の女中は手にした鍋を康子の置いた電熱器に置き、その隣に肉の乗った皿を置いた。
「へえ、これが西園寺流のすき焼きですか」 
 別所はじっくりと鍋の中を見つめる。いまだ温まっていない割り下に浮かぶ春菊に目がひきつけられる。
「ちょっと時間がかかるのが困るのよね」 
 そう言いながら続けて入って来た女中から卵などを受け取る康子。
「要!あなたも来なさい!」 
 ふすまの外に座っていた西園寺要が遠慮がちに部屋に入ってくる。明石はその雰囲気に安心できるような感じを抱きながら見守っていた。

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