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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 170

「何でこんなことに・・・なんでこんなことに・・・」 

震えていた。水島はただ狭い書庫にしては大きすぎる棚の中で震えていた。

『おじさん・・・あなたに力があるからですよ。力がなければ誰もあなたなんかには目もくれない。でもあなたにはそれがあった。そしてそれを使ってしまった。一度開いたパンドラの箱は二度と戻らないんですよ』 

頭の中であざ笑うようにクリタ少年の声が響いた。だが水島には今は震えること以外はできるはずも無かった。

『ジョージは悪戯が過ぎましたね。合衆国はあなたにはいくつか保障したいことがあります』 

クリタ少年とともにいた無口な少女らしい女性の声が脳内に響く。水島はただ静かに頷くしかなかった。

『あなたの身の安全。これは我々も守らなければならない義務が生まれる可能性があります・・・』 

「可能性?この前部屋で話した話だけでいいんじゃないのか?」 

叫びたくなるのを我慢しながら水島は小声でつぶやく。無表情なまま水島の言葉の意味を反芻しているだろう少女の顔を思い出すと水島の怒りは爆発しそうになった。

『あなたが我々に今後無条件で協力すると言う意思を示さない限りは我々にあなたの安全を守る義務は発生しません・・・忘れましたか?あなたはすでに一人の人物の命を奪っていることを』 

少女の声。抑揚を殺している脳内に響く声に水島は自分を罰しようとしているような少女の表情を思い浮かべて苦笑した。

「確かに・・・それは事実だけど・・・不可抗力と言うか・・・」 

『不可抗力?おじさんはストレス解消に放火や器物破損を繰り返してきた犯罪者なんだよ。それをすべて帳消しにしてあげるんだから・・・それなりに待遇が悪くなるのも我慢しなきゃ』 

クリタ少年の言葉はその通りだった。それだけに水島は苦悩の表情を浮かべたまま戸棚の入り口にしがみつく腕に力を込めるしかなかった。

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