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遼州戦記 播州愚連隊 29

 定時を過ぎて3時間。人影もまばらな隊舎の廊下を明石は歩いていた。黒の上下に紫のワイシャツ。ネクタイは赤。それにサングラス。はじめは好奇の目で見られた明石のスタイルもすでにそれが普通と思われていて、警備の兵士も敬礼をして彼を見送る。そして自分の車のドアに手を伸ばしたとき背中に気配を感じて振り返った。
「なんだ、別所か」 
 安堵の声をあげる明石。そしてそこにはいつもどおり海軍の勤務服姿の別所がいた。
「とりあえず来い!」 
 突然別所が明石に手を伸ばす。
「なんや!突然!」 
「いいから、車は置いていけ」 
 そう言うとそのまま隣の車止めに止めてある公用車に明石を引きずり込んだ。
「ええのんか?あがくのにも流儀がいるやろ?ワシはこんな格好で……」 
「かまわん。出してくれ」 
 そう言って別所が声をかけた運転手は黒田だった。
「オメエ本当にそれじゃあ堅気にはみえないな」 
 助手席には魚住が座っている。車はそのまま制限速度を超えて官庁街へ向かう道をひた走る。
「なんやねん。説明、きっちりしてもらおうか?」 
 自分の剣幕に少しは驚いて見せるだろうと思った別所だが、彼はまるで明石の言葉が聞こえないようにフロントガラスの外の景色を眺めていた。
「拉致するからな」 
 突然別所が吐いた言葉に明石は顔をゆがめた。
「拉致って……。それは……穏やかやないなあ」 
 口の中の唾液を飲み下す明石。車はそのまま海軍省の地下駐車場へと乗り込む。黒田が車を止めるとすぐに扉が開かれる。
「狙いは誰や?」 
 その言葉にようやく笑顔を見せる別所に明石は背筋が凍るのを感じた。
「赤松の親父だ」 
 別所はそのまま腰の拳銃に手を当てている魚住に続いてエレベータに乗り込む。
「大丈夫」 
 明石の剃り上げられた頭の中はひたすら混乱するばかりだった。
「おう、扉が開けば艦隊司令の会議室だ。覚悟を決めろよ」 
 そう言うと別所も腰の拳銃を抜いてスライドを引いて装弾、そしてそのまま安全装置をかけてホルスターに戻す。
「開くぞ」 
 魚住の言葉に明石も覚悟を決めた。

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