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遼州戦記 播州愚連隊 32

「あの二人は義理の兄弟だからな」 
 別所の囁きで赤松貴子が安東貞盛の姉であることを思い出し、笑いあう安東と赤松の顔が一斉に西園寺に向かっている意味が分かった。
 さらに車が現れる。今度はバンであり、大きな寝台でも運んでいるような車だった。
「保科のとっつぁんか」 
 安東が腕組みし、赤松が渋い表情で車を見る。運転手達は車が止まると同時にそのまま後部のハッチを開いた。
「よう、元気そうだな」 
 寝台から上半身を起こそうとする保科老人を黙って赤松と安東は眺めていた。
「君達もいるのか。嵯峨君はなかなかのやり手のようだ」 
 そう言うと保科を乗せた寝台は屋敷の中へと向かう。赤松と安東はそれに寄り添うようにして正親町三条家の屋敷の玄関へと向かった。
「これでどうにかなる話なんやろか」 
 ぼんやりとつぶやく明石の肩を叩く別所。
「恐らくは保科さんの命が続く限りのひと時の平和だろうな」 
 そんな悟りきった言葉を吐く別所を明石はにらみつけた。
「ひと時だろうが平和が命を救うのはお前が一番知っているだろ?」 
 別所の顔は真剣だった。明石もその言葉の意味は分かっていた。長距離ミサイルにコックピットを取り付けて敵艦隊に突入する。その特別攻撃部隊の隊長として終戦を迎えた明石には停戦がどれほどの意味を、平和がどれほどの命を救うかを知っていた。
「その間にどうすれば命が消えずに済むか考えろってことやな」 
 明石のつぶやきに頷く別所。たたずむ車止め。従卒達はタバコを吸いながら中で行われているだろう会議を空想していた。
「ああ、別所君!」 
 突然西園寺公を乗せてきた車から女性の声が響いた。暗がりに時々薙刀の刃がギラリと光るのを眺めていた明石だが、そこから和服の女性が降りてきたので自然と頭を下げた。
 薙刀を車のドアに立てかけるとその女性西園寺康子は車の助手席に乗った執事から重箱を受け取った。
「これ、もってきたんだけどいかがかしら?」 
 屋敷の中の明らかに殺気だった雰囲気に飲まれていた明石と別所は突然の康子の提案に目が点になった。
「魚住君や黒田君も……楓ちゃんの家の軒先でも借りましょうよ」 
 そう言うとそのまま康子は屋敷の玄関に腰を下ろす。
「皆さんもいかがですか!」 
 康子が楽しそうに従卒達に声をかける。
「じゃあワシはいただくかな」 
 ぼんやりしている別所を置いて明石はそのまま小皿を運んできた正親町三条家の使用人から箸を受け取るとそのまま夜食のつもりで康子の重箱からかまぼこを突くことにした。

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