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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 6

『いい加減にしろよ』 

「わかってるよ。俊平どうしたの?』 

 相手はシャムの相棒といえる第一小隊三番機担当の吉田俊平少佐だった。彼のネットと直結した意識はシャムのヘルメットの猫耳に仕込まれたカメラで薄明かりの中をバイクを走らせているシャムの視線を読み取っていた。サイボーグである彼は時にこうしてシャムの行動を監視することもあった。

「で?何か用なの?」 

『ああ、今朝の畑仕事だが警備部の連中が手伝ってくれるそうだ』

「そうなんだ。助かるね」 

 シャムはそう言うと赤に変わった信号の手前でバイクを止めた。誰もいない交差点。市街化調整区域のぽつんぽつんと建つ建物の向こうに見える産業道路を大型車がひっきりなしに走っているのが見えた。

『それで……どうせ植物なんてネットでしか見たことがない連中だから役に立つとは思えないからな。とりあえず草でも抜かせるか?』 

「この時間に草抜きは危ないよ。まだしばらくは休んでいてもらって日が出てからにしようよ」 

 そう言うと信号が変わりシャムはバイクを走らせる。産業道路への合流口は青信号でシャムは一気にバイクを加速させた。

「それにしても……最近暇よね」 

『まあ第二小隊とアイシャは事件捜査で忙しかったみたいだけどな。俺達は蚊帳の外だ』 

「そうだよね。少しはアタシ達もお仕事したいよ」 

 シャムはそのままバイクで大型車の間を縫うように走る。そのアクロバティックな動きに思わず焦った鉄骨を積んだトレーラーの運転手がクラクションを鳴らす。

『相変わらず混んでるみたいだな……三車線じゃ足りないか』 

「うーん。まあ狭いかもね。渋滞するから昼間は」 

 そう言いながら前を見たシャムの視線に部隊の駐屯している菱川重工業豊川工場のエントランスゲートが目に入った。

「じゃあもうすぐ着くから」 

『待ってるぞ』 

 通信が切れるのを確認するとシャムはバイクを止めた。早出で出勤するらしい技術者の乗用車が並ぶ中。シャムもその行列の中にバイクで割り込むことになった。




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