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遼州戦記 播州愚連隊 97

「醍醐卿からの連絡。無視を続けてもよろしいのですか?」 
 すでに大半の豊州の艦隊は出撃を完了し、旗艦の佐賀の戦艦『山城』とその護衛艦の出撃を待つばかり。その緊張感の中、艦隊司令の佐賀高家は側近達を集めて静かに彼等の顔を眺めていた。『山城』の艦長の言葉。確かに彼の弟であり嵯峨泉州公家の三家老の家柄の醍醐家を継いだ醍醐文隆が何度と無く高家に寝返りを打診する連絡がもたらされているのは事実だった。主君である嵯峨惟基は現在は遼南皇帝の地位にあり、遼南の皇帝を帝と仰ぐ胡州においては嵯峨と言う食えない皇帝の一言がどれだけの意味を持つかは佐賀も知り尽くしていた。
 だが皇帝ムジャンタ・ラスコーからの指示は唯一つ、好きにしろと言うものだった。三家老は池家の当主陸軍准将池幸重は南極で烏丸派に付くと宣言し、同じ三家老の醍醐の進軍をてぐすね引いて待ち構えていた。
 佐賀は正直迷っていた。
 主君のラスコーは義理とは言え醍醐の上に立ちこれから佐賀が倒しに行く第三艦隊司令赤松忠満とは高等予科学校の同期である。そして赤松が担いだみこしの上に立つ西園寺基義は義理の兄である。さらに先日烏丸派の陸軍将校達が西園寺家の包囲をしていながら基義等に逃げられて西園寺派の帝都での牙城である近衛師団に篭城された話は自分が烏丸派に付くことがかなりの危険を伴うことになるだろうと予想させた。
「しかしいまさら引くわけにも行かないのではないですか?」 
 気の弱そうな情報担当の将校の眼鏡をいじる様を見てもさらに佐賀の視線は曖昧になる。
「確かにこのまま西園寺派に付いたところで……」 
「馬鹿言うな!この国の秩序の破壊を見逃せと言うのか?」 
『秩序は崩れるものだ。今の時局では仕方が無いことだ』 
「確かに清原さんが勝っても次第に貴族の立場は無くなっていくだろうな」 
 この場にいる参謀ばかりでなく先導艦の艦隊司令も交えての会議はまるで結論を先延ばしにするためだけにあるように続いていた。そして佐賀はただ渋い顔でその様子を眺めている。
「時に……濃州から進んできている越州の艦隊は?」 
 その言葉に一同は唖然とした。すでに越州の艦隊はかなりの損害を出して撤退を開始していることくらいは佐賀も知っていると思っていた。
「その話でしたら……」 
 参謀の一言に自分の他力本願な本音が出たことに少し後悔しながら仕方なく佐賀は言葉を続けようとした。


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