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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 17


「俊平……大丈夫?」 

 足元におとなしく頭を差し出すグレゴリウスを撫でながら倒れている吉田にシャムは声をかけた。

「大丈夫に見えるか?」 

「うん!」 

「だったら声をかけるな」 

 そう言いながら吉田は頭についた土を払った。

「こりゃシャワーでも浴びたいな」 

「じゃあ使えば?」 

 驚いて吉田が振り向くとそこにはすでに紺色のコートを着込んで帰り支度を済ませた明華の姿があった。

「大佐、驚かせないでくださいよ」 

「それが軍用義体の使い手の台詞?たるんでるわね」 

「明華!もう上がりなの?」 

「ええ、今日は島田が早出だったから引継ぎも済ませたし……」 

 明華はそう言うと空を仰いだ。すでに朝の空。隣の塀の向こう側、菱川重工の社内を走る車の音がすでに響いていた。

「もしかしてタコさんとデート?」 

「タコさん?」 

 しばらくシャムの言葉の意味が理解できないというような顔をした明華だが、その『タコさん』が彼女の婚約者の元保安隊副長である明石清海中佐を指すことを知って笑い始めた。

「タコさん……タコさんて……」 

「大佐、笑いすぎですよ」 

 さすがの吉田も婚約者に爆笑されている明石のことを哀れに思って声をかけた。

「シャムの言うことは外れ。私も徹夜明けだもの。今日はおとなしく部屋で寝ることにするわ」 

「大変だね」 

 シャムの言葉にあいまいにうなづくとそのままグラウンドに向かう明華。それを見てシャムはゴミ袋を吉田に持たせた。

「どこかいくのか?」 

「だってシャワーを浴びるんでしょ?アタシはしばらくグレゴリウスの散歩をするから」 

 そう言うとシャムは足元に寝転んでいたグレゴリウスの背中にまたがる。グレゴリウスは大好きなシャムが背中に乗ったのを感じるとそのままグラウンドに向かって歩き始めた。

「金太郎だな……あれは」 

 吉田はそう言うと肩にもついていた土を払った後、シャムが置いていったゴミ袋を手に彼女のあとについていった。




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