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遼州戦記 播州愚連隊 119

 父が去っても要はパイロットスーツのままうろちょろと落ち着き無く歩き続けた。
「要ちゃん」 
 一度足を止めるが康子の声にも耳を貸さずに再びぐるぐるとハンガーの片隅に置かれている多々身の回りを回り始める。
「要ちゃん!」 
 そう言うと突然康子の姿が消え、同時に要は足を払われたように後頭部から地面に叩き付けられる様に倒れこんだ。気がついた要の首筋に薙刀を突きつけている康子がそこに現れる。
「なんだ……いえ、すいません!お母様!反省しています!」 
 刃を向けて冷徹な表情を浮かべる母にさすがの要も反省したように叫んだ。康子はそれを見るとにっこりと笑いって再びたたみに座ってお茶を飲み始めた。その光景に周りの近衛師団の兵士達はあっけに取られる。明らかに康子は瞬時に五メートルほどの距離を移動していた。いや、目で見る限り移動していると言うよりワープでもしたかと言う速度だった。ただ康子が西園寺邸を脱出した時に清原派の一個中隊の警備部隊を瞬殺した話は聞いているのでなんとなく納得しながらもおびえて要達から距離をとるようになった。
 チタン合金の頭蓋骨の持ち主の要は平然と起き上がると静かにたたみに腰を下ろした。
「工作ったって……なんだ、叔父貴でも呼ぶのか?それともアステロイドのアメリカ海兵隊基地に連絡をとるとか……」 
「まだまだね、要ちゃんは」 
 康子は余裕の笑みで引き続いてお茶を飲み続けている。
「おいしいわね。新ちゃんのお茶はやっぱり最高」 
 義理の弟で姉の息子に当たる西園寺新三郎こと嵯峨惟基の名前を出したところで要は少しばかり首をひねった。
「叔父貴じゃ無いんだろ?親父が働きかけているのは」 
 そう言う娘に康子はお茶を入れてやった。要は素直にそれを受け取りそのままじっと茶の中を見つめていた。
「意思の強い人にはこういう場面では何を言っても無駄よ。相手を見て話をしないとね」 
 康子は悠然とお茶を飲みながらそうつぶやいた。


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