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遼州戦記 播州愚連隊 122

「それでは隊長、ありがとうございました!」 
 明石の巨体を見上げて敬礼した部下達はそのままシミュレータ訓練場を後にした。のんびりとパイロットスーツのまま椅子に腰掛ける明石だが、その顔の横にスポーツドリンク入りのカップが差し出された。
「なんだ、別所やん」 
 そう言うと明石は差し出されたカップを受け取り唇を浸す。
「なんだは無いだろ。正親町三条の奴は解放されてそのまま帝都に向かっているそうだ」 
 作業着姿の別所は明石の隣に腰掛けゆっくりと自分のためのコーヒーを啜る。
「アステロイドベルトに到達できたのは幸いだな。この量のデブリならロングレンジの攻撃はほとんど意味が無い」
「そないなことワイもわかっとる」 
 安心したような笑みの二人。明石の部下達も消え、部屋は電力消費量の調整のため二段階ほど暗くなった。
「その顔。なんかまた企んどるな……」 
 別所の顔を見るとついそんなことを言ってしまう。明石が身を持ち崩して闇屋で発砲事件などを起こしている間に別所は医師免許を取るだけでなく軍隊と言う組織で生きる多くの知恵を身につけている事実は明石も認めていた。そんな世に『播州侯の懐刀』と呼ばれる別所がただの茶飲み話に疲れている明石を誘うわけが無いことは良く理解できた。
「どうやら佐賀さんが寝返るらしい」 
 突然の別所の言葉に明石は口にしていたスポーツ飲料を吹いた。そしてそのまままじめな表情の別所に顔を向ける。
「おい、おい、おい!そないなことワシにしゃべってもええのんか?」 
「お前の部隊はたぶん前衛に展開することになるだろうからな。下手に佐賀さんの部隊を叩いて味方を減らすようなまねをされたら困るだろ?」 
 そこで別所は初めて笑みを浮かべた。そしてそのまま静かにコーヒーを啜る。ブラックのコーヒーの苦味に別所は一度顔をしかめるとそのままシミュレータの機械の並ぶ部屋の周りを見回した。
「知っとるのは赤松の親父とワレくらいやろな。でも何で佐賀の旦那が……弟の醍醐はんとは犬猿の仲やし、主君のあの気まぐれな皇帝陛下とはこちらも不仲で知られとる。それに楓もワシの部下なんやで、寝返る理由がなんかあるんやろが……」 
 明石はそういいながら剃り上げられた頭を叩きながら隣に座っている別所を見下ろした。


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