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遼州戦記 播州愚連隊 125

「おう!よろしく頼むぞ」
 池幸重は次男の昌重の肩を叩いた。
 南極基地警備部隊は全軍を基地から外の市街地に移動していた。市民は包囲する醍醐の民派に時間稼ぎをして何とか脱出させた。そして昌重には負傷したものや新婚の兵士達をホバーに乗せてそのまま醍醐の本部へと向かわせる予定になっていた。
「しかし父上、いいのですか?」 
 息子の頬が震えていることにすぐに幸重は気がついたが、肩をもう一度叩いて落ち着かせるべく腰をかがめてひざ立ちで頭を下げている昌重に顔を近づける。
「俺の我侭だ。それに貴様を付き合わせるわけにはいかんな」 
 そう言うと立ち上がり大きく息をする。司令部の仮設テントには緊張した空気が走り、池親子を見守る部下達の姿が見えた。
「醍醐と俺。どっちが戦上手か知りたいだけだ。別にどちらが勝とうがこの動乱の主流とはならないだろうからな」 
 幸重はそう言って懐から扇子を取り出す。耐寒装備の充実したテントとはいえ、零下の世界。誰もが震えている中、一人扇子で仰いでみせる父の姿に昌重は涙を浮かべた。
「なんて顔をしているんだ。ここまで醍醐の奴を足止めすれば十分なんだ。あとは俺と醍醐の勝負と言うわけだからな……貴様等もいいんだぞ!抜けたい奴は今のうちだ!」 
 周りを見回して幸重が叫ぶ。誰もが苦笑いで老将の言葉に耳も貸さずに計器の設定作業を続けている。
「見ての通り。俺達の意地という奴を見せるまでは死ねないってことだ。あいつには良く言い聞かせておいてくれ」 
 満面の笑みの父を見ると昌重は仕方が無いと言うように立ち上がる。
「元気でな!あと家内の世話も頼むぞ」 
 昌重は何度も振り返りながらテントから出て行く息子を見送る。
「さて、俺の戦争と言う奴を醍醐の野郎に見せてやろうじゃないか」 
 そう言って扇子を叩くとそのまま幕僚達が待ち構えている会議室へと足早に去る池幸重だった。


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