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遼州戦記 播州愚連隊 132

 火砲の爆裂音。断続的な機関銃の銃声。時々悲鳴と嗚咽が響く最前線の塹壕の中。少し土嚢を積み上げただけの粗末な仮設指揮所の椅子に池幸重は座って地図を見下ろしていた。
「主な地下壕のある施設にはやはり攻撃があったようです」 
「まあそうだろうな……食料局もミサイルの雨が降ったか。さすがに醍醐だ」 
 参謀の言葉ににんまりと笑い南極基地近くのこの極地ポートの町の地図を見回す池。
「それにしてもこんな最前線に指揮所があるとは予想していないんじゃないですか?」 
 隣の眼鏡の副官の言葉にそれまで緩んでいた表情が急に引き締まった。
「醍醐はそれほど馬鹿じゃないよ。主な指揮命令系統の維持のために必要な地点は攻略済み。そうなればあいつだって俺が最前線をのこのこ歩き回って命令を出していることくらい気づくはずだ。そうなれば今度はこう言うちょっとした施設に猛攻をかけてくるはずだ」 
 そう言うと従卒の出したカップのコーヒーを受け取って握り締める。零下50度を下回る極地の風は土嚢やテントの生地の間から流れ込んで指揮所をいっぺんに冷やしてしまう。
「あいつもあと五時間ぐらいが山だと踏んでるだろうからな。いつここに爆弾が落ちてもおかしくないぜ」 
 池が見回すのを見て参謀達はニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「そのくらいの覚悟はできていますよ。それにすべての兵はあと六時間で投降する手はずを整えていますから」 
 大きく満足げに頷くと池は再び地図に目をやった。どちらが勝利しても重要な胡州のインフラである南極基地の宇宙港は無事に確保されるように彼の部隊は配置されていた。事実もうすでにまったく防御のなされていない南極基地には醍醐側の部隊が進行してきていることは机の上に表示されていた。
「さて、俺達はすべての義務を果たした訳だ。後は清原のおっさんが第三艦隊を止められるかどうか……天のみぞ知るというところかな」 
 そう言いながら池は満足そうにコーヒーをすすった。


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