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遼州戦記 播州愚連隊 133

「結局間に合わず……か」 
 赤松忠満准将は第三艦隊旗艦『播磨』のブリッジで静かにそうつぶやいた。二時間前、南極基地の制圧に醍醐文隆司令の部隊が成功したものの停泊中の艦船のエンジンの再起動までに数日が必要と言う連絡を受け、ブリッジクルーに焦りの色が見えていた。
「人さんを当てにしとったらあかんで。勝つ時は勝つもんや」 
 そう言いながら帽子を被りなおす。そのしぐさが苦戦中の時の赤松の癖だと知っている艦長はつい笑みが浮かんでしまっていた。
「笑わんといてな」 
 赤松はその表情を見つけると小声でそう告げた。
 全艦隊はアステロイドベルトのデブリに身を隠していた。敵は陸軍所有の大気圏付近での揚陸活動をメインに使用されることを想定して作られた揚陸艇。支援火器は充実しているものの対艦戦を想定したつくりにはなっていなかった。戦力差は第三艦隊にはかなり不利なのは誰もがわかっている。それゆえに醍醐の部隊の参戦が不可能になったのは痛かった。
「あちらはどないなっとんねん」 
「は、羽州の巡洋艦三隻が先行しています。やはり対艦戦で揚陸艇を突出させるのは不利だと見ているのでしょう」 
 上司のリラックスした問いに参謀の一人がそう答える。そのまま赤松はしばらく声に出さない笑いを漏らしていた。
「こらあワシのことを買いかぶっとるんやなあ。何も考えんと力押しで来られたらどないもこないもなかったが……こら勝ちの目も出てくるかもしれへんなあ」 
 そのつぶやきに周りを囲む参謀達に笑みが広がる。そしてそれを見たブリッジクルー達も少しばかり明るい表情を浮かべることになった。
「でもしめていかなあかんで。羽州の艦隊は恐らく指揮官は秋田はんでアサルト・モジュール部隊はあの安東と見て間違いないからな。こちらもそれなりに準備を進めとかなあかん」 
 静かにそう言った赤松。参謀達は次の日には始まるだろう戦争のことを思いながら信じるべき指揮官の姿を目に焼き付けていた。


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