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遼州戦記 播州愚連隊 138

「大丈夫かよ」 
 明石が青い顔をしているのに気づいた別所が声をかける。幹部のみのブリーフィングルーム。すでに羽州艦隊が先行して胡州海軍第三艦隊の待ち構えているアステロイドのデブリに向かっていた。
「ああ、ワシは考えてみると初陣やったなあ」 
「確かに」 
 振り返る魚住と黒田の顔が笑顔に染まっている。
「今度は帰りの燃料もあるからな。安心して戦えるぞ」 
 別所はそう言いながらモニターを指していたペンを振り回しながら明石の目の前まで来た。そしておもむろに明石の剃りあげられた額を触る。
「熱は無いか。なら問題ないな」 
 その動作に明石は別所もまた先の大戦で人生を狂わされた被害者であることを思い出した。そして同世代の他の艦のアサルト・モジュール部隊の部隊長達もそんな一人なのかと思うと次第に目頭が熱くなった。考えてみれば別所も魚住も戦争が無ければたぶん球場で数回話をしたくらいでこれほどまでに近しい存在にはならなかっただろう。別所は父の跡をついで病院の内科医になり、魚住は商社か何かのサラリーマンになっていたことだろう。自分も宗教学者が務まるほどでは無かったので実家の寺で読経の日々を過ごしていたはずだった。
 しかし戦争はすべてを変えた。
 三人はそれぞれ第三艦隊の最前線に有って指揮を執る旗艦『播磨』の最前線部隊を指揮することが決定していた。お互い命を預けての戦いになるのは目に見えていた。
『俺達と同じような物語があいつ等にもあるんやろか?』 
 黙って明石は周りの熱心に作戦の要綱を伝える別所の言葉を聴いている指揮官達を眺めている。
「ぼんやりしてるんじゃないぞ!タコ」 
 あまりに別のことを考えていた明石に別所の投げたペンが飛んだ。それをすばやく交わすと明石はしてやったりというようににんまりと笑っていた。


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