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遼州戦記 播州愚連隊 167

 天幕の中。醍醐文隆はじっと目をつぶって第三艦隊からの報告を聞いていた。
「終わりましたね」 
 副官の言葉にしばらく躊躇した後に頷く。
「これで終わりではないとは思うがな」 
 その口調が滑らかさを欠いている理由は天幕の下の指揮官達にもよく分かっていた。
 兄、佐賀高家の裏切りが宇宙での戦いの帰趨を決めたのは間違いないことだった。そしてその裏切りが兄の無能さを物語るような偶発的なものだったと聞いたことも醍醐の不安そうな面持ちの原因となっていた。
「とりあえず抵抗している部隊に投降を呼びかけるべきだな。このまま帝都まで300キロ。それなりに強固な敵部隊と遭遇することもあるだろうが……」 
「仕方がありません。とりあえず大掃除が必要だったと言うことでしょうから」 
 副官のその言葉に頷くと醍醐は立ち上がった。そしてそのまま天幕の入り口でガスマスクをつけて外に出る。テラフォーミング化済みとはいえ遼州星系第四惑星胡州の空は赤く染まって独特の土煙が太陽をさえぎっているのが分かる。
「これからが問題だ……な」 
 そう言って見上げた空に友軍の攻撃機やアサルト・モジュールが編隊を組んで飛んでいくのが見えた。
「さて、後は嵯峨殿の仕置きを待つしかないだろうな」 
 レンズの向こうに見える赤い空。それを憂鬱そうに見つめる醍醐。そしてその先で苦虫を噛み潰すような表情を浮かべて苦悩しているだろう兄を想像すると醍醐の心は痛んでいた。


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