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遼州戦記 播州愚連隊 176

 西園寺基義を首班とする臨時政府による戒厳令は一週間の期限を切って施行された。多くの官派の将校達は獄につながれ、ようやく帝都は日常を取り戻した。
 屋敷町の嵯峨家帝都邸。一人その家の主である嵯峨惟基は縁側で木切れを削っているところだった。
「新の字。ええのんか?」 
 渋い茶を啜りながらつぶやく海軍の将軍は赤松忠満。彼の第三艦隊が直接帝都に接岸した時点でもはや官派に逆転の目はなくなっていた。そしてその足で彼が嵯峨邸を訪れたのには訳があった。
「俺は本来ここにいない人だからね。結構目に付かないように気を使ってるんだよ」 
「その割には醍醐さんに召集をかけたらしいじゃないか。貴様の被官では池准将が身柄を拘束されているんだ。醍醐さんのことだ。助命嘆願をするのは確実だが……どうするつもりだ」 
 そう言うと再び湯飲みに口をつける赤松。テラフォーミングされたからといって鳥が飛んでいるわけでも虫が鳴くわけでもない純粋培養と言える庭園。それを見つめながら嵯峨はただ一心に木切れを短刀で削るだけだった。
「父上、醍醐様、佐賀様がおいでです」 
 静かにふすまを開いた嵯峨の娘、正親町三条楓。
「おう、楓坊。ええ顔になったんちゃうか?」
「お褒めいただいて恐縮です」
 深々と頭を下げる楓の言葉にようやく嵯峨が振り返って二人を見つめた。 
「おいおい、忠さん。楓を落としに来たのか?それよりお二方か……会おう。応接間に通してくれ」 
 父の言葉に頷くと楓はそのまま廊下に消えた。赤松は不思議そうな顔で嵯峨を見つめている。
「忠さん。会っていきますか?」 
 そう言う嵯峨の表情が見るものを凍らせるような迫力を秘めていたので仕方なく赤松は頷いていた。


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