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遼州戦記 播州愚連隊 189

 そのまま車を係員に預けると明石達はそのまま墓地への階段を上がった。たまに線香の香りが漂い、墓所であることを再確認しながらお互いに顔を見合わせる。
「どうも……失礼します」 
 喪服の老女が突然脇から現れ明石達の隣を通り過ぎていく。彼女が今回の動乱で何を失ったのかは分からない。ただ沈黙が一同を支配していた。
「おう、来たんやな」 
 桶の置かれる場所で一人立ち尽くしていた赤松の顔を見て一同はほっとした気分になっていた。
「ここにいるならカードなんて……」 
 嵯峨はそう言うと桶の入った器具にカードを差し込む。テラフォーミング化した土地らしく、胡州では水は貴重だった。その桶入れの中から水に満たされた桶が出てきた。明石は成り行きでその桶を手にしていた。
「行こか」 
 そう言うと赤松はそのまま墓所に向かう。並んでいる墓標。どれも貴族達の墓地であり墓石には高級な石材が使われ、凝った装飾が施されていた。
「あれ……恭子さんじゃねえのか?」 
 嵯峨の言葉に赤松が大きく身を乗り出す。明石が見たのは黒い喪服の女性が跪いて墓を拝んでいる有様だった。赤松がいつの間にかその女性に向かって歩き始める。
「赤松将軍。妹さんが……」
 明石がそう言って見たが赤松は一人立ち尽くしていた。明石達はそれを見て大きなため息をつくと彼を置いて嵯峨の後ろについて歩き始めた。
「お兄様……新三郎さん……」 
 恭子は驚いたように嵯峨を見つめた。そして明石はその瞳が正気を失った人物のものだとすぐに直感できた。
「一応、俺は嵯峨の跡取りになったんだけどな」 
「貞盛さんもいないわよ……」 
 そう言うとにこりと笑って彼女は新しい塔婆の目立つ黒い墓石をいとおしそうに見上げていた。


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