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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 5

「どうした?」 

 要が声をかけるが誠の心臓の鼓動は早くなるばかりだった。そしてその原因が自分の領域に一つの力が介入してきていることが原因だとわかって要に説明しようと顔を上げた。だが言葉が出なかった。

「おい、大丈夫か・・・カウラ!神前が変だぞ」

 ひざまずいて震えている誠を要が何とか助け起こそうとするが誠の意識は要もそしてその言葉を気にして近づいてきたカウラやアイシャにも言っていなかった。

 圧迫されてゆがむような視界の中、絵馬が並んでいるのが見える。人々はそれぞれ手に絵馬を持って和やかに話をしているのが見えた。だが、その中の中学生くらいの振袖姿の少女が急に足を止めたのを見て誠は立ち上がろうとした。

「昨日はコミケで大変だったから疲れて・・・」 

 そう言ってアイシャがそう言って手を差し出した瞬間だった。

 一瞬誠の意識が飛んだ。そして一斉に参拝客が眺めていた絵馬に火が入った。乾燥した木の燃え上がる炎に人々が驚いたように悲鳴を上げる。

「なんだ!」 

 驚いて振り返る要。カウラはあたりを見回し防火水槽を見つけて走り出した。

「ちょっと!何よ!テロ?テロなの?」 

 アイシャはしばらく叫んだ後、火の粉が移った人達に近づいて自分の紺色の振袖を振り回して火を消そうとしていた。

「おい、誠・・・」 

「パイロキネシスト・・・発火能力者です」 

 ようやく何物かの介入がやんで力が入るようになったひざで参道の中央に立ち上がる。そしてその誠の様子を確認すると要は慌てて駆けつけてきた警備の警察官に自分の身分証明書を見せた。

「保安隊?法術事件ですか?」 

 驚いた太り気味の警察官はしばらく唖然とした後、周りを見回した。防火用水の隣のポンプを使ってカウラが近くの客達に助けられながら放水を開始している。

「法術犯罪の可能性がある。すぐにこの場にいる人物の身柄の確保を始めてくれ」 

 要の言葉に警察官と飛び出してきた町会の役員達が大きく頷いて走り始める。その様子を見送った後、誠は大きく息をしてそのまま消火活動中のカウラに向かって駆け出していった。

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