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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 9

「ふう・・・」 

 警察署から見慣れた保安隊の寮までの間、ひたすら所轄の悪口を言い続ける要から開放されて自分の部屋に帰ってくると誠は荷物を放り出して横になった。口ばかりの要だったがクリスマスから正月にかけての実家での要達との馬鹿騒ぎを思い出すとにやけてくる自分が感じられた。

「おい、いいか?」 

 ドアのところでカウラの声がした。

「どうぞ、開いてますよ」 

 誠が起き上がるのを見ながらカウラが入ってきた。その細いからだと特徴的なエメラルドグリーンのポニーテールが誠のアニメ関係のグッズが並んだ部屋に違和感を与えた。

「ああ、とりあえずお茶でも飲もうと思ってな・・・」 

 手にしたお盆から急須と湯飲みを並べるカウラ。元々そういう気の回りに縁がないカウラの行動が誠には不自然に思えた。

「演躁術師を見つけられなかった件ですか?」 

 誠が渋々そう言うとカウラは視線を手元の茶筒に落としてしまう。

 演躁術。他人の意識を則り操るこの地球の殖民惑星『遼州』の先住民『リャオ』に見られる特殊能力。誠も先日地元のデパートでの通り魔事件でその恐怖を味わったばかりだった。そして誠自身も『リャオ』のほぼ純血種だということも分かっていた。それを察してかカウラの頬がこわばる。

 気分を変えるように誠のフィギュアのコレクションを見ながらカウラが話し始めた。

「三百人の身元を突き止めるので精一杯だ。専門家はその中に容疑者がいる可能性はゼロに近いと・・・」 

「法術の専門家のシュペルター中尉もお手上げですか」 

 カウラに湯飲みを渡された誠は静かに茶をすすった。保安隊は誠の配属以来法術系犯罪を追うことが主任務になりつつあった。『りゃオ』の血を濃く引く誠と部隊長の嵯峨惟基がいる以上、どうしても司法機関の多くも手に負えない事件は保安隊に押し付けるのが当たり前のように思われていた。

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