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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 34

「そうですよね。僕なんか嫌いですよね。僕みたいに・・・」 

 そこまでで言葉を切るアン。

『おい・・・もしかして男が好きだとか言い出すのか?まじで勘弁してください!神様!仏様!』

 アイシャの小説を読まされ続けて蕩けてきた脳が妄想を開始する。大体が立場は逆で長身の上官がひ弱な部下を襲う展開が多かったが、一部には逆転している作品もあったのでボーイズラブの世界に落ち込むのではないかと恐れつつ時が経つのを待っていた。

「僕は・・・」 

 アンがそういうのとシャワー室の扉が吹き飛ぶのが同時の出来事だった。

「神前!いい加減に出て来いや!いつまで待たせんだ!」 

 怒鳴る、そして壊す。これは西園寺要の十八番である。男子シャワー室に一応女性の要が乱入してくるマナー違反よりこのままアンと二人きりで時を過ごすことを想像していた誠にはありがたい出来事だった。

「もう少し待っててくださいね・・・なんとかしますから」 

「おう、アンと一緒か・・・もしかして・・・」 

 短い髪をお湯ですすいでいる誠。周りは見えないが明らかに要の気配は近づいている。しかしその様子がぴたりと止まった。

「なんだよアン?」 

「西園寺さん!非常識ですよ!」 

 どうやらアンがシャワーを出て要の前に立ちはだかっているようだと言うのが目をつぶっていても分かった。

「なんだ?上官に意見か?いい度胸だ。そして付け加えると前くらい隠せ」 

 それだけ言うと明らかに要の足音は遠くになってしまった。続いて蹴って外れた外の扉を直している音が響いてくる。誠はその状況にさらに絶望を始めていた。


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