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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 38

 一人きりになりようやく安心してズボンに足を通す誠。そのままワイシャツを着てボタンをつける。

「まだかー」 

「まだですよ」 

 待ちきれない要が外で叫ぶ。その隣であくびをしているアイシャの吐息が聞こえる。誠はワイシャツの腕のボタンをつけてさらにネクタイを慣れた手つきでしめると上着を羽織り、バッグを片手に扉を開いた。

「よし、行くぞ」 

 ようやく出てきた誠を一瞥すると要はそのまま歩き始めた。

「本当に気が短いんだから」 

「何か言ったか?」 

「べーつーに・・・」 

 振り返る要にとぼけてみせるアイシャ。いつものように運行部の扉の前にある階段を上がり、医務室と男女の更衣室が並んでいる二階の廊下を歩く。誰もいない廊下に足音が響き。誠達はそれを確認しながら会議室の扉の前に立った。

 アイシャがノックをする。

「どうぞ」 

 澄んだ声。嵯峨の双子の娘の姉、嵯峨茜警視正の声が響く。そのまま開いた扉の中を見れば振り返るカウラと法術特捜担当ということで呼び出された実働部隊長のクバルカ・ラン中佐の幼い顔があった。

「西園寺。そんなに急かす必要なんてねーんだぞ」 

 ランの言葉にむっとした表情のまま彼女の隣の椅子にどっかと腰を落ち着ける要。その大人気ない様子にカウラは大きくため息をつく。

「さあ、皆さんそろったんですから・・・」 

 なんとか和ませようと中腰で仲介するのは技術部の整備班長の島田正人准尉。隣にいるアイシャの部下のサラ・グリファン少尉も雲行きの怪しい誠達のとばっちりを避けたいというように頷きながら要を見つめていた。

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