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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 48

「ふう」

 水島勉はようやく部屋にたどり着いてコタツにもぐりこむと大きくため息をついた。そして自分が何をしたのかようやく分かってきて沸いてくる笑顔がとめることができなくなっていた。

「法術師・・・悪くないな」 

 久しぶりの自分の笑顔になんだか楽しくなってくるのが分かる。

 半年前。会社を突然解雇された。理由は半月前に社で強制的に受けさせられた法術特性が陽性だったからだった。組合に入っていた同僚達はそのまま団体交渉に入ったが、組合というもののアレルギーを持っていた彼は一人で退職して量に半年間居住できるという条件で満足した。

 実際あとで聞いてみれば自分の反応は他の法術師の反応とは違うということだった。なんでも空間に介入して時間軸や状態を変性させる能力や思考を読み取ったりする能力があるという話だが、彼にはそんな能力があるわけではなく、仕方なく学生時代の教科書を引っ張り出して法律の勉強を始めた。

 再就職を諦めたのは正解だったと水島は思っている。

 実際、法術師を歓迎しているのは軍と警察くらい。どちらも年齢制限で彼が応募できるわけも無かった。それ以前に人事一筋の彼が犯罪者相手に渡り合えるなどとは自分でも思っていなかった。そんな彼にも転機が来た。

 それは寮からの退去を勧告されてようやく東都湾岸のウィークリーマンションに腰を落ち着けた時期だった。

 いつものように彼は勉強の疲れを癒そうとコンビニに入りビールを買うとそのまま会計をしようとレジへ向かった。湾岸地区はあまり治安がいいとはいえない。事実その時どう見ても堅気には見えない若者が勢いよく扉を開けて入ってきた。その時だった。いつもなら目を合わせることすらできずにレジで硬くなっている自分が何かを脳で感じた。

 まさに脳で感じたという状態だった。そして心の中で叫んだ。

『はじけろ』

 彼にとってはそれだけだったが、次の瞬間に起きた出来事は水島の予想を超えたものだった。

 紫色のニッカポッカの男の髭が火で覆われた。何が起きたか分からないというように呆然としたあと、男はそのまま顔を抑えてのた打ち回り始めた。明らかに何も火の無いところから火が回り転げまわる男。

 助けを呼ぶ仲間や店員を見ても誰も何も気づいていない。

『俺の力なのか?これが法術なのか?』 

 心の中でそう思いながらただ立ち尽くすしかない自分に気づくと苦笑いが浮かんできた。

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