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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 54

「私が・・・専従そっさかっの・・・」 

「馬鹿!噛むんじゃねえ!」 

 ずんぐりむっくりの豊川警察署の署長を前にして誠は緊張のあまり挨拶すらできない有様。そして思い切り要に足の親指をパンプスのかかとで踏まれた。

「まあ緊張しなくても・・・まあかけてくれます?」 

 小太りのまだ20代に見える署長は白髪が混じっている副署長が明らかに敵意で武装して誠達を見ているのに比べてリラックスして応接ソファーに誠達を座らせた。

 メンバーは誠、要、カウラ、そしてアイシャ。いつものように自分の上官で運用艦『高雄』艦長のリアナの頼みに弱いことを利用してこのメンバーに紛れ込んだアイシャ。悠然と座って小太りの署長に色目を使うところはいつもどおりのことだった。

「法術となると・・・うちでは素人捜査しかできないもので」 

「こちらもまだ捜査のノウハウを蓄積している段階です。これからはさらに凶悪化、組織化が予想されますからできるだけ早く対応することが必要になります」 

「とうちの責任者は申しております」 

 署長に答えたカウラに茶々を入れる要。その様子を見てどうやらキャリアの署長が彼女の気に入らないことに気づいてなんとかこの場を乗り切ろうと誠は考えはじめた。

 アイシャは当てにならない。おそらく彼女も要とこの小太りの署長の相性の悪さには気づいているはずだった。だが当然のことながら彼女の行動原理は『面白ければそれでいい』である。引っ掻き回しにかかられたら誠も分が悪い。一方カウラはそんな相性などは考えることもない。ただ今回の事件が本当に豊川市に舞台を移したのかを知りたいと言う職業倫理に基づいて動くだけ。

「で・・・この署に法術適正者は何人いるんですか?」 

 早速カウラが訪ねるが、その言葉に曖昧な笑みを浮かべる初老の副署長。署長はそちらを向いてなにやら複雑な笑みを浮かべていた。

「法術適正は・・・プライバシーの問題がありますから・・・」 

「自己申告が原則となっているので。それに適正者で能力的に貴重な人材はすべて本庁の機動部隊に転属になって・・・」 

「つまり手駒で使えるのはいない確立が高いと・・・使えねえな」 

 要の言葉に署長の米神が痙攣するのを見て誠の胃がきゅるきゅると痛んだ。

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