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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 56

「ここです」 

「ここです?」 

 明らかに嫌な顔をする要。だが誠も同じ気持ちだった。それを無視するようにドアを開ける杉田。

「用具室か。結構片付いているんだな。うちの部隊とは・・・」 

「でも人のいるとことじゃないんじゃないの?」 

 カウラは何とか自分を納得させるようにつぶやくがそれをアイシャがぶち壊す。確かに何もなかった。端のほうに書類のダンボールが山積みにされ、とってつけたようにいつのころの時代のものかと聞きたくなる端末が置かれた机と椅子が四つ並んでいる。

「実は・・・」 

 杉田氏が口を開くまでもなく誠達はこの惨めな有様が東都警察上層部の意図だと言うことを理解していた。

 同盟厚生局事件。一応外面的にはテロリストによる法術データ強盗事件と言う発表で落ち着いているが、三ヶ月前のその事件は厚生局による違法法術研究の事故が原因であり、その為に東都警察と保安隊が対応に当たったことは司法関係者なら誰もが知っていることだった。

 その時、虎の子の法術対応即応部隊を投入しながら何一つ点数を稼げなかった東都警察が、暴走する実験体を対峙して見せた誠達に明らかに嫉妬していると言う噂は散々聞いていた。

 そして結果が目の前の哀れな現状だった。仕方がないというように顔を怒りで引きつらせながら椅子に座るカウラ。要はもう怒りを通り越して呆れてそのまま窓から外を眺めている。

「空調はちゃんと効くのね」 

 そう言いながらそのまま奥の空調機を確認するアイシャ。誠はただ黙って杉田と言う警視の顔を眺めていた。

「ご不満でも?」 

 一応は東都警察の幹部職員である。にらみを利かせるように言われればただ黙って頷くしかない誠。

「一応・・・捜査関係の資料は閲覧できるのですか?」 

「当然です。ただし・・・プロテクトがかかっている部分については・・・」 

「安心しな。ハッカー吉田は本隊でお寝んねだよ」 

 半分やけになったように要は叫ぶとそのまま近くの席に腰を下ろした。

「それではよろしくお願いします」 

 そう言うと杉田は見放すようにドアを閉めて消えていった。

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