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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 63

「怪我人も無し。いいことじゃねえか」 

 全焼した廃屋を見上げながら要がつぶやいた。すでに能力暴走を起こしてパニック状態に陥ったパイロキネシス能力者の豊川商業高校の女子生徒は警察署へ向かうパトカーに乗せられて消えていた。

 あたりは消防隊員と鑑識のメンバーが焼け焦げた木造住宅の梁を見上げて作業を続けていた。

「これでもう例の犯人は豊川市に拠点を移したと考えるべきかな・・・」 

「カウラちゃんが珍しいわね。意外とそういうところで結論を急ぐ癖があったじゃないの」 

「まあ私も『近藤事件』以降は考え方も変わったからな」 

 黄色いテープを持ち上げて現場に入るカウラ。アイシャや要、誠もその後に続く。焦げ臭い香りが辺りにに漂っていた。現場の鑑識の責任者らしい髭面の捜査官がカウラに敬礼をした。カウラ達も敬礼をしながら辺りを見回した。

「ああ、保安隊さんからの出向している方たちですか」 

「よくご存知で」 

「まあ・・・うちは狭いですから・・・それに噂はかねがね」 

 含むところがあるというような笑みにカウラもあわせて乾いた笑顔を浮かべた。

「連れていかれた女の子が関わっているんですか?」 

 誠の言葉に頷きながら責任者らしい巡査部長は誠の階級章を見ながら頭を掻く。

「この道路から見える壁が一気に発火したって言う証言がありましてね。物理的にそう言う燃やし方をすれば出る科学物質の反応もないですから・・・まず間違いなく彼女のパイロキネシス能力が利用されてこの建物が燃えたのは事実だと・・・」 

「で、その餓鬼が何か言ってたのか?」 

 警部の階級章の要に見つめられると頬を緊張させながら巡査部長が頭を掻く。

「自転車でこの道に入ってしばらくしたら意識が朦朧として気が付いたらこの廃屋が燃えていたと・・・」 

「気が付いたら?放火の意図があったかどうかは確かめて無いんですか?」 

 やけに丁寧に口を挟む要にむっとした表情を浮かべる鑑識の責任者の巡査部長に誠はいつの間にか同情していた。

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