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遼州戦記 保安隊日乗 低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 68

「あんたら本当に警察の人?」 

 真顔で聞いてきた男の視界から突然要が消えた。誠も黙っているうちに男はそのまま要に組み敷かれて床に転がっていた。

「おう、良かったな。アタシ等は現在東都警察に出向中の保安隊の実働部隊員だ」 

 その言葉。そして生身とは思えない動きと重さで口を要に押さえつけられている男がうめく。

「ほう・・・アタシは何度か租界でテメエの顔を見てるけど・・・出世したもんだな」 

 要の立て続けの言葉に何かを思い出したように動きを止める男。要は納得したように立ち上がりスカートの裾をそろえる。

「・・・西園寺のお嬢ですか・・・そうならそうで・・・って納税?」 

「そう!アンタ等が今年の売り上げの約40パーセントを・・・」 

「お嬢!勘弁してくださいよ!何が目的ですか?なんか事件でも追っているんですか?胡州の官派の残党狩りですか?」 

 泣き出しそうに跪く男に誠は哀れすら感じた。恐らく要はこの不動産屋の裏帳簿をネットで拾って脱税の記録でも見つけたんだろう。さらにまともな不動産屋のすることではない違法な活動の証拠も握っているかもしれない。彼が振り返るとカウラもアイシャも要のすることがはじめから分かっていたようににんまりと笑みを浮かべている。

「じゃあ、オメエの事務所。そっちで話そうか。ここじゃあ拙い話も出てくるんだろ・・・あ?」 

 とても遼州一の名家の令嬢とは思えない顔つきで男をにらみつける要。男も仕方なく立ち上がると事務所の職員が失笑を浮かべているのにいらだちながら立ち上がった。

「じゃあ・・・二階で」 

 そう言うと男は静かに横にあるドアを開いた。要が誠達を振り返りにんまりと笑うとそのまま付いて二階に上がる。カウラとアイシャも誠を引き連れてその後ろについてあがった。

 桐の見事な柱の通った二階。まるで雰囲気が違う部屋には何人かの若い衆がタバコを咥えて雑談をしているところだった。そこに現れた憔悴しきった兄貴分。当然のように鋭い目つきがその後ろを歩いていた要に注がれることになった。


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