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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 46

「じゃあ僕の職権で繰越金を何とかして処理しておきますから。後で清算手続きの書類、回しますからね!」 

 捨て台詞のようにそういい残して菰田は無表情のまま管理部の部屋に飛び込む。シャムが透明のガラスの向こうを見ているといかにも痛快そうに笑っていた事務の女子職員達が菰田が口に手を当てるのを見て慌てて目の前の端末に視線を移す様が滑稽に見て取ることができた。

「彼も……悪い人間じゃないんだけどねえ……」 

 苦笑いを浮かべて頭を掻く高梨。

「参事は隊長と会議でしたか?」 

「まあ……兄さん相手じゃ会議にならないよ。書類を渡したら恐ろしい速度でチェックを入れ始めてそのまま決済書類入れにポイだからね。書類を見て入っているチェックの赤ペンの言葉に文句を言おうとしたら途端に立ち上がってヤスリを取り出して自分の銃のスライドを削り始めちゃって……要するに赤ペンの部分のことには意義があるから僕の裁量でなんとかしろってことなんだけどさあ……」 

 そう言うと小脇に抱えていた書類入れから書類を取り出そうとする高梨。

「あ!私は要ちゃんを迎えにいくんだった!」

 それを見て小難しい話を繰り出されると思ったシャムはそのまま轟音の響くハンガーへと駆け出した。

 管理部のガラスの小部屋が尽きると視界が広がって目の前には偶像のように並ぶ人型兵器『アサルト・モジュール』が見えた。まさに壮観と言える光景に思わずシャムは足が止まりかけるが、後ろからまた高梨に話しかけられてはたまらないとそのまま階段を駆け下りてハンガーの床までたどり着いた。

「ナンバルゲニア中尉、また西園寺さんのお守りですか?」 

 床にどっかり腰を下ろしてニコニコ笑いながらシャムの実働部隊のアンと並ぶ19歳で最年少の技術兵である西高志兵長が油まみれのバールを磨いている様が目に飛び込んできた。

「まあそんなところね」 

「かなり苛立ってるみたいでしたね、あれは。独り言をぶつぶつつぶやきながら僕のことを無視してそのまま小火器管理室に飛び込んだと思ったら……」 

「あれでしょ?キム少尉と怒鳴りあいの後で銃を持ってそのまま同じ調子で外まで歩いていったと」

 シャムの推理に感心するわけでもなくただ苦虫を噛み潰したような表情を一瞬浮かべた後、西はそのままバールをぬぐっていた油まみれの布切れを隣の作業台に放り投げてバールを肩に背負うようにして立ち上がった。

「うちの新人達も……まだ慣れて無いですからね。驚いちゃって……この前なんか危うく労災になるところでしたよ。できれば神前曹長にナンバルゲニア中尉から一言言ってやってくれませんか?」 

 激しい人事異動の結果、平時だというのに部隊発足わずか二年間で技術兵では最古参になった若者の言葉にシャムは苦笑いを浮かべるとそのまま手を振って騒ぎがあったという小火器管理室へと足を向けた。




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