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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 49

「いつ見ても派手だよなあ……」 

 ぼんやり腰の拳銃のグリップをいじりながら真っ赤な巨人を見上げているシャムに何かの失敗をしたらしい新人隊員の説教を終えたばかりの島田が声をかける。

「まあランちゃんの趣味だから」 

 シャムはそう言うとにんまりと笑った。油まみれのつなぎを着た島田も頬の機械油をぬぐいながら苦笑いを浮かべていた。

「こいつ、『クローム・ナイト』並みに手がかかるからねえ……できればこいつの出動は避けてほしいんだけど……」 

「ランちゃんは一応実働部隊長だもの。出ないわけには行かないでしょ」

「そうだよねえ……」 

 肩を落とすと島田はそのまま解体整備中の部隊長、嵯峨の愛機『四式改』の肩の辺りで手を振る女性技術仕官レベッカ・シンプソン中尉に一度敬礼して歩き出した。

「ああ、西園寺さんなら相変わらずの仏頂面で……」 

「射場でしょ?」 

 シャムの言葉に島田は思わず苦笑い。そのまま去っていく島田を見ながらシャムはそのまま歩き出した。第二小隊の三機の『05式』。その隣には反重力エンジンを取り出して隣の菱川重工業豊川工場の定期検査に出すべく作業を続けている隊員達と心臓のようなエンジンを抜かれて力なく立ち尽くす第三小隊の三機の『05式・後期型』。さらにその隣にはアメリカ軍からの出向で来ている灰色の迷彩服の技術兵達の点検を受けている第四小隊の『M10』と隊の主力アサルト・モジュールが並んでいる。それを眺めつつシャムはそのままハンガーの開いた扉を出た。

 冬の日差しが満遍なく目の前のグラウンドを照らしている。背にしていた金属音と機械のたてる重厚な音。それと対照的に目の前では警備部の古参隊員達による徒手格闘訓練の様子が目に飛び込んできた。

「がんばるねえ……」 

 小学生に間違えられるシャムから見ればまさに小山のように見える金髪を刈り込んだ髪型の大男達が寒空の中タンクトップに短パンという姿でお互いの間合いを計りながらじりじりと詰め寄り互いの隙を探っている。

「寒いなあ」 

 その姿にシャムは自分が防寒着も着ないで外に出てきたことに若干公開しながらそのまま拳銃の音だけが響くハンガーの裏手の射場に向けて歩き始めた。




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