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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 51

「本当にケチなんだな」 

 要はそう言いながら口元にだけ笑みを浮かべる。シャムから見ても自分の体がほとんど機械で構成されたサイボーグであることに凄まじいコンプレックスを持っているひねくれた要。彼女が明らかに自分の出会ったどのタイプとも違う誠に興味を持っていることは分かりきっていた。外惑星『胡州帝国』屈指の名家の出でありながら反主流派であった父のとばっちりを受けて非正規部隊で汚れ仕事を担当していた荒んでいた要。部隊ができた直後にシャムが始めてであったときはまるで口を開かず開いたと思えば喧嘩ばかり。そんな彼女が一人で射撃に集中することで自分の感情を抑え込むことができるようになったのは進歩なのかもしれない。シャムはひそかにそう思いながら要を見つめていた。

 そんなシャムの思いを無視するようにターゲットに正対した要は再び手にした銃でターゲットに一発ずつ確かめるようにして射撃を続けている。

「私も撃つかな」 

「その為のガンベルトだろ?」 

 再び空になったマガジンを取り出す要。開いた左手で先ほどのアルミケースを探るがすでに装弾済みのマガジンは尽きていた。舌打ちをすると彼女はそのままケースの奥からメーカーの箱に入った新品の弾丸を取り出して箱を開くとテーブルに並べていた空きマガジンに弾薬を一発ずつ込め始める。

「そう言えばキムが言ってたわよ、撃ちすぎだって」

 そう言うとシャムはテーブルの上の要に貸していた拳銃を握るとその撃鉄を起こした。

「アタシの金だ。この銃だって叔父貴から買い取っているんだぜ」 

「でも管理はキム君任せじゃないの」 

 シャムは引き金を引く。マンターゲットを立てていない射場に土煙が上がる。

「アイツの仕事だろ?アタシ等が前線で動くために必要な小火器を用意してその整備運用の全般を取り仕切る。その為にアイツがいるんだから」 

「それはそうなんだけどね……」 

 下手に反論したところでネットワークと直結した頭脳を持っている要を言い負かすのは自分には無理だと分かっているのでシャムは再び視線を先ほど着弾があった地点に目をやると再びハンマーを起こす。

「ここだけの話だぞ、誰にも言うなよ」 

 引き金を引き絞ろうとしたシャムにこれまでの強い調子とは打って変わったか細い声の要の声が響いたのでシャムは引き金から指を離した。

「誰にも言わないよ」 

「絶対だぞ!」 

 顔だけ弾を込めている要に向けたシャムに要は顔を赤らめながら噛み付くような調子で叫んだ。




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