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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 69

「シャムさん、足元!」 

 島田の声でシャムは下ろそうとした左足の下を見た。何本もコードが連なっている集合端子が見えて思わず隣のケーブルに足を掛ける。

「本当に注意してくださいよ。ケーブル一本で俺達の給料一か月分なんですから」 

「ごめんね……でもヨハンはここを通るの?」 

「あの人の場合はまず最初から入れませんから。俺達がデータ出力端子を引っ張って入り口の端末でデータ処理をするんですよ」 

「ああ、なるほど」 

 シャムは巨体の持ち主のヨハンを思い出してなるほどと思うとそのまま目の前の中で何かが流れているらしいパイプを潜り抜ける。そしてようやくそこには巨大なメイドのイラストが描かれた誠の専用機のコックピットが現れた。

「島田君。疲れたよ」 

「毎日3キロ走っている人がよく言いますね」 

「こんなところ通るくらいなら3キロランニングのほうがましだよ」 

 シャムは無理をして曲げた腰を抑えながらコックピットの前の空間に腰を下ろした。後ろでもアンがあきれ果てたというように余裕でパイプをくぐってきた島田の顔を見つめていた。

「まあ俺達は慣れてますから。さあ、あと十五メートルくらいですよ」 

「はいはーい」 

 島田に急かされて立ち上がるシャム。コックピットの隣に据え付けられたデータ解析用端末の隣はすでにコードのジャングルが始まっていた。シャムは再びその中をくぐる。緑、赤、黄色。色鮮やかなコードのトンネルをくぐるシャム。次第にコツがつかめてきて先ほどよりも早く要の愛機の三号機のコックピット前の広場にたどり着いた。

「はい!次は楓さんと御付の人の機体を越えて!」 

「うん!」 

 シャムはそのままコードの森に突入した。後ろではうんざりしたという表情のアンが、楽しげに森を進むシャムに呆れながらその後ろに続いた。コツがつかめれば意外なほど早く進めることに気づいてシャムは少しばかり楽しくなってきていた。さまざまな色のコードの縞々。端子に付いたセンサーの光る様。時々何かを流しているパイプの中から響く不思議な音。シャムはそれらを楽しみながらどんどん進んでいった。

「あのー、シャムさん。そこには入らなくて良いですから」 

 吉田の声を背中に聞いて、自分が第四小隊の機体に向かう通路に向かっていることに気が付いたシャムは照れたような笑みを浮かべながら疲れ果てたアンを見て苦笑いを浮かべていた。




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