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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 70


 アンの機体は東和宇宙軍の制式色である灰色の一般的な機体の色だった。マーキングも特になく、実戦経験の無い彼らしいプレーンな機体に見えてシャムには好感が持てた。

「じゃあとりあえず入ってみて」 

「ここに?」 

 アンが指差す。そこには開きかけのコックピットハッチから何本ものコードが延びていて比較的小柄なアンですらとても入れるような隙間は無かった。

「ああ、ちょっと待ってください……」 

 そう言うと島田は身を翻して通路の手すりから飛び降りると器用に太いケーブルに足を掛けて駆け下りるようにハンガーの一階へと下っていく。

「凄いね」 

「慣れているからじゃないですか?」 

 珍しく生意気な口を利くアンに笑みを漏らしながらシャムはそのまま制御モニターの並んだブロックで談笑している部下に指示を出している島田を眺めていた。

「すみません!少し離れてください!」 

 島田が叫ぶ。思わずシャムは周りを見渡した。

「離れるって……どこに?」 

 そんな言葉が漏れたがオートでコックピットハッチが全開になったところで据え付けられていた通路がゆっくりと持ち上がると野生の勘でコードの森に飛び込んだ。

「アン君!こっち!」 

 シャムはそう叫ぶとうろたえて右往左往するアンの首筋をつかんで引っ張り込む。二本の太いパイプがゆっくりとコックピットから引き剥がされ、それに付属しているさまざまなコードがぶらりと垂れ下がってまさにジャングルの蔦植物のようにも見える光景が目の前に展開した。

 そんな様を黙ってみていたシャムだが、すぐさま島田と同じようにケーブルに足を掛けてすばやく登ってきた技術部員達がそれぞれのコードのむき出しの端子にカバーのようなものを取り付ける作業を始めるのを見てさすがに感心させられた。

 赤いコードには赤いカバー。青いコードには青いカバー。作業つなぎのベルトに取り付けられた袋からすばやく取り出しては作業を続ける。そして一人の古参の下士官がそのまま開いたコックピットの中に入ると左右の隙間から伸びていたコードが次々と吐き出され、同じようにそれぞれのコードの先にはカバーが取り付けられていく。

 その作業が一段落すると今度はカバーをつけていた隊員達は機体の背後に回り何か作業を始める。だらんとぶら下がっていた二本の太いパイプは天井に。コックピットの左右から取り出されたコードは後ろへと引き込まれていった。




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