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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 73


 ニードルは白い塊の上部に突き立てられていた。次第に空間の時間進行の差異が縮まり、周りが普通の光景になるとその目標がベルルカンなどでよく見られる前世代のアメリカ軍制式アサルト・モジュール『M5』であることが分かった。その胸部の装甲にがっちりとアンの機体の右腕から伸びたニードルが突き刺さっている。

『このまま行動を停止させます』 

 そう言うとアンは機体の左腕を使って暴れるM5の左腕を捥いだ。

「やっぱりM5の関節は弱いんですねえ」 

「まあ開発年代が違うからね」 

 島田の質問に答えるシャムの顔に笑顔は無かった。

『目標からの電信です。投降の意思を示しました。このまま……』 

 そこまでアンが言った時、急に機体のバランスが崩れた。乱れるモニター、背部に被弾したことを示すセンサー。

『背後からレールガンの狙撃!背部スラスター損傷!エネルギーバイパス部に20パーセントの損傷!離れます!離脱します!』 

 叫ぶアン。シャムは相変わらず難しい表情でモニターを眺めていた。

「味方を囮かよ……えげつないねえ」 

「よくある手だよ。このくらい意識しておかないと……アン!退避行動!」 

 シャムの言葉だが慌てるアンには届くはずも無い。法術ブースターの作動にはまだ力の蓄積が足りず、アンはただよたよた機体を後ろに進めながら川の中へと機体を進めた。次々に発射されるレールガンがアンの機体の右腕を吹き飛ばし、頭部にダメージを与えてモニターの一部に欠落が出始める。

『このまま水中に……!膝関節部分浸水!』 

 アラームが鳴り響く。アンは仕方なく水から出るが、今度は先ほどの装甲ホバーからと思われる攻撃は始まった。

「助けてあげないと……このままじゃ戦死ですよ」 

 島田の言葉を聞くとシャムは静かに部隊の執務端末に伝票を打ち込んでいたときとはまるで違う慣れた手つきでキーボードを操作した。

 モニターが暗転する。

『ふう……』 

 アンが大きくため息をついてシートに身を任せる。

「結論から言うと……」 

『分かってます』 

「じゃあ良いよ、降りて」 

 シャムの言葉にアンは手元のシミュレータ装置の電源を切る。シャムの見ていたモニターも暗転した。シャムはそのまま視線をうなだれてコックピットから這い出してくるアンに目を向けた。



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