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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 112

「どう?」 

 シャムはベンチに座って黙り込む要に声をかけた。

「どうって……言われてもな」 

 難しい表情の要は腕組みしたまま微動だにしない。シャムは要から話しを聞くのを諦めるとヘルメットを被りバットを持ってバッターボックスに向かった。

 いつものようにスイング。きわめて短く持つバットはいつもどおり素直に軌道を描く。

「よし!」 

 自分に気合を入れるとそのままバッターボックスに入った。そしてマウンドの上の誠を見つめる。

 特に変わった様子は無かった。あえて言えば最近のおびえたような表情はそこには微塵も無い。

「本気で行くからね!」 

 シャムはそう言うとあることを考えていた。

『セフティーバントだな』 

 ヤコブは中間守備。アイシャはやはりシャムの考えを読んでいる様で少し前に守っている。とりあえずヤコブの前に転がせばあのゆったりとした動きの誠のベースカバーが間に合うわけが無い。ゆったりと誠がモーションを起こした。シャムはすっかり決める気でバントの体勢に入った。しかしそこでシャムの予想していないことが起きた。

 中間守備だったヤコブが一気に前に出てきた。アイシャも飛び出してくる。そしてサラがすばやくファーストに走っている。

『なに!このシフト!』 

 驚いたシャムの出したバットは空を切る。

「ストライーク」 

 明石の声が響く。シャムは驚いて岡部に目をやった。してやったりの表情の岡部。

「ナンバルゲニア。やで」 

 呆れたような明石の言葉。

 思えばカウラに投げていたときより誠の動作が俊敏になっているのがわかる。

『ははーん。さっきカウラちゃんを打ちとってすっかり気分が良くなったんだ』 

 シャムはうれしくもあるがチームでの打率一位のプライドが誠の球を打ち返して見せるという闘志を掻き立てた。

 マウンドの上。誠に先ほどまでのおどおどしたところは微塵も無い。

『さっきはカウラちゃんにはストレート系で一球も大きな変化球は使ってない。さっきもストレートかカットボール。そろそろ変化球を試してもおかしくないよね』 

 シャムはそう読んでストレート系は捨てて変化球、しかもカーブのタイミングでスイングすることを決めた。





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