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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 115

 しばらくのバッテリー間のやり取りをアイシャは悠然と眺めていた。

『やっぱり度胸据わってるなあ、アイシャちゃんは』 

 感心しながらその様を見るシャム。何度か首を振った後、ようやく誠はサインを決めてセットする。シャムもまたこう言うときは引っ張りにかからずに逆らわずに打つだろうアイシャに備えて緊張しながら構えていた。

 誠の投球動作が始まる。先ほど見たときより若干動きがすばやくなっている。

『打たれるな』 

 シャムはそう直感してアイシャに目をやった。

 しなる誠の左腕。その直後にアイシャはスイングを止めてボールを見送った。

「ボール」 

 内角。シャムからはストライクに見えるほど際どいコースのように見えた。岡部は不服そうに明石を見つめた後、気にするなと肩をゆすった後、そのまま誠に返球する。

 誠は別に気にするようには見えず。ただ手にしたボールをその感触を確かめるように何度も左手で握り締めた。

 シャムはそのままアイシャを見た。バッターボックスから出て素振りをするアイシャ。別段変わった様子は見えない。。

『今度も待つかな?』 

 グラブを叩いてショートのサラを見る。サラもまたシャムを見つめていた。

「大丈夫かな?」 

「ええ、アイシャなら問題ないでしょ?」 

「違うよ、誠ちゃん」 

 シャムの言葉を聞いていたのか不服そうな表情で誠が振り返る。シャムは舌を出してどうにも文句がありそうな誠にこたえた。

 それを見ると誠はマウンドに立ち岡部を見下ろした。サインの交換だが、今度は一回でサインが決まった。アイシャはまた悠然とバッターボックスに構えていた。

 誠はゆったりとしたモーションで投球動作を開始する。また自然とそのスリークォーター気味の左腕が唸り球が放たれる。今度はアイシャも打つ気で構えているのがシャムにも分かった。

 金属バットの響き。打球はそのままアンパイアの明石のマスクを直撃した。

「あ?」 

 思わず振り返ったアイシャの声が響く。しばらく中古のマスクと言うことで衝撃に弱いところがあるようで、明石はマスクを外して顔を抑える。

「大丈夫や!大丈夫」 

 自分に言い聞かせているのか、叫ぶ明石が何とか顔を上げた。サングラスを外しているので小さな目が驚きでさらに小さくなったように見えた。要がそのタイミングで予備のボールを誠に投げる。誠はそれを受け取るが、しばらく心配そうに明石を見つめていた。





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