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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 143

「そやけどそれが面白い」 

 にやりと笑う明石。シャムもつられて笑っていた。

「神前の時もただワシはキャッチボールで肩を作らせただけやねん。最初からベルガー、お前さん、クラウゼを相手に好きに投げてみて言うただけや」 

「でもちゃんと押さえたよ」 

 シャムの言葉に大きく頷く明石。そして静かに明石はサングラスを外した。大きな頭に不釣り合いな小さな細い目がシャムを捉える。

「結果は一番ええことになった。でもな、押さえんといても次押さえればええと思えるようになったんとちゃうやろか?打たれて当然や。そう思っとって気がついたら押さえられとる。その時にどこからかわいてくる自信。それを待つより他に策は無い」 

「ずいぶんとまー気長なことだな」 

 話を黙って聞いていたランが呆れてつぶやく。

「先任。下手な考え休むに劣る言うことですわ。結局30期で連敗は脱しましたから御の字で」 

 そう言って明石はサングラスをかけ直すと大声でからからと笑った。シャムもつられて笑っている。

「おい、タコ。もう締めようや」 

 手にしたテキーラの瓶が空になったのか振り回しながら要が声をかけてくる。明石は満足したように頷いた。

「おう、もうええやろ……ラビロフの機嫌もようなったみたいやからな」 

 シャムがちらりと明石の視線をたどるとサラと笑いあっているパーラの姿が見えた。それを見てシャムの顔にも笑みが浮かんでくる。

「よし!帰ろう!」 

 立ち上がるシャムにあわせてランと岡部も立ち上がる。あぐらを掻いていたランはまだしもまた岡部は正座していた膝が痺れるらしくふらふらしながらどうにも足下がおぼつかない。

「おう、岡部。しばらく休んどき」 

 明石はそう言いながら懐に手を入れて財布を取り出す。おごりと決まったこともあり、気を利かせた要が明石の肩に黒いコートと赤い長いマフラーをかけた。

「ありがとな」 

「いや、ごちそうさんです!」 

 すっかり上機嫌で叫ぶと要はそのまま下手に転がる誠とアイシャに駆け寄った。すでにカウラは寝ぼけているアイシャの頬を叩いて起こしにかかっていた。

「なんや、アイツ等は大変やのう」 

「いつものことじゃねーか?お前の時もそーだろ?」 

 鷹揚に振る舞うランに参ったというように頭を掻く明石。シャムが自分のいた鉄板を見れば。神経を肝臓の生体プラントに集中してアルコールを分解している吉田の姿が見て取れた。





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