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遼州戦記 保安隊日乗 番外編 (2) 150

 ひんやりとした肌の感覚。シャムは次第に酔いが醒めていくのを感じていた。

「まあいいか」

 そのままシャムは振り返ると台所に出た。信一郎の姿はすでにそこにはなかった。安心してシャムはそのまま階段を昇る。

 年代物の木造住宅らしいきしみ。家人が起きるのではないかといつもひやひやしながら一歩一歩昇っていく。深夜ラジオの音量が漏れる信一郎の部屋を背にそのままシャムは自分の借りている一室にたどり着いた。

 いつものことながら安心できる。電気を付けたシャムはいつもそうしているように部屋の中央にちょこんと座った。

 ふと近くの家具屋で目にした古めかしい本棚。その無駄に頑丈そうな木の枠の中にはお気に入りの漫画。その隣にはクローゼット。量販店で見つけた安物なので好きにアニメキャラのシールを貼って遊んでいる。

 それを見るとシャムは自然と着ていたジャンバーを脱ぎ始めた。

 立ち上がり、扉を開き、ハンガーにそれを掛ける。夜中の暖房のない部屋は正直寒いがそのくらいの方がシャムには気分が良く感じられた。

 そのままシャツとスカートを脱ぎ、クローゼットの下の引き出しの中のパジャマを手に取る。

「やっぱかっこいいな」 

 アニメショップで買った戦隊もののジャージの上下がシャムのお気に入りのパジャマだった。そのまま寒さに急かされるようにしてそれを着込むと今度は反対側の押し入れの前に立った。

 こちらには劇場版アニメのポスターが貼り付けられている。シャムがお気に入りの繊細な少年パイロットの顔を一瞥した後、おもむろに引き戸を開いた。

 布団。寒さの中で見るととても素敵なオアシスに見える。にやつく笑みを押し殺すとシャムはそのまま布団を引きずり出した。

「重い」 

 思わずつぶやく。思えば今週は一度も干していなかった。明後日が休みだが野球部の練習試合が控えている。

「どうしようかな……」 

 迷いつつシャムは敷き布団を選び出して畳に広げる。先月買い換えたばかりなので真新しいがどうにもその重さが気になっていた。そのまま手早く敷き布団を押し広げ、シーツをかぶせる。ふかふかのシーツはどうも苦手なのでシーツはいつも薄い生地のものを選ぶのがシャム流だった。

 部屋の隅に押し込まれていた毛布と掛け布団をその上に載せ、巨大怪獣をディフォルメした抱き枕を抱えてシャムはそのまま布団の上に座った。

「今日も一日……疲れたなあ」 

 本来ならここでビールだ。などと考えているうちに目が時計に向く。ちょうど深夜12時を指していた。

「ちょうどいい時間だな」 

 シャムはそう言うと部屋を見渡す。いつもの見慣れた光景もこうしてみると味わいがあるように見えた。





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