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遼州戦記 保安隊日乗 殺戮機械が思い出に浸るとき 1

「なんだ? 吉田の旦那は今日もお休みかよ」 

部屋に入って来るなりの西園寺要大尉の言葉で神前誠(しんぜんまこと)はようやく隣の机の島の一角がここ三日間空席だった事実に気がついた。

考えてみれば奇妙な話だった。遼州同盟司法局実働部隊、通称『保安隊』。司法実力部隊の一士官が三日間部隊に顔を見せず、そのことに隊員の誠が気づかなかった。

「クバルカ中佐、何か話は?」 

要と一緒に入ってきた誠と要を部下に持つ第二小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉が部屋の上座の大きめの机、端末の画面に向けて声をかける。

「あ?話?ねーよ」 

小さな頭が画面の後ろから飛び出す。どう見ても十歳には届かないような顔立ちの実働部隊長クバルカ・ラン。その表情はまるで吉田がいないことが当然だというように無関心、無感動なものだった。

「いいのかよ、それで。脱走じゃねえか!ここが胡州だったら銃殺だぞ!」 

「だって胡州じゃなくて東和だよ。だから大丈夫」 

いきり立つ要に吉田の隣の席の小柄な女性士官、ナンバルゲニア・シャムラード中尉が答える。その姿を見つけた要はいつものタレ目でシャムを睨み付けながらつかつかと歩み寄る。

「オメエいつも吉田と一緒だよな?知らねえのか?こいつがいねえわけ?」 

要の見下すような視線。だが一枚上なシャムはただにこにこ笑いながら黙って頷く。

「なんだ?ここはなんだ?鉄砲持ったり大砲持ったりことによっちゃあアサルト・モジュールなんて言う物騒な巨大ロボットで戦争の真似事もやったりするところなんだぞ?その兵隊が上官の許可も無く行方不明だ?」 

「いつアタシが許可をしてねーって言った?」 

またひょいと画面の脇から顔を出すラン。そのぼんやりとした表情に誠は吹き出しかける。だがすぐにそれを要に見つかってなんとか口を押さえて項垂れた。

「じゃあ許可したのか?」 

「してねーよ。しかもアタシの知ってる限りの連絡手段はすべてシャットアウトだ」 

それだけ言うとまたランは頭を引っ込めた。

「はあ?マジで逃亡じゃねえか!」 

「逃亡じゃ無いよ。連絡がつかないだけ」 

捲し立てる要に茶々を入れたシャムだが要の高圧的な一睨みに頭を掻いてそのまま自分の端末の画面に目を移した。


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