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遼州戦記 保安隊日乗 殺戮機械が思い出に浸るとき 49

しかし得意げな王の表情が嵯峨の気に入るところではないのはすぐに分かった。

「その優秀な諜報機関……どう使ってますか? 」 

「どう使う? 」 

しばらく王の表情が固まる。そして嵯峨の言葉の意味が分からないというように首をひねった。

「別に遼北のミサイル基地の位置を把握しているかどうかなんて言うのは二の次三の次……一時期遼南で暴れた『殉教団』のシンパのリストとかは届いてますか? 」 

そこまで聞けば王が青ざめるのは当然だった。軍内部に勢力を持つイスラム保守の勢力の中でも特に過激な『殉教団』のシンパ。彼等が戦術核絡みの部署にいればいつでも核戦争が始まることは目に見えている。

「ははーん。その様子だとご存じない。それじゃあ俺の知ってる範囲でシンパの連中をリストアップしておきましたから後で送信しますよ……身柄の拘束。よろしくお願いしますよ」 

王を安心させようとした嵯峨の言葉だがその意味するところは西モスレムの諜報機関の無能を証明することでしかなかった。持ち上げて落ちて引きずり下ろす。嵯峨のいつもの話術に呆れながら安城は嵯峨がメモ書きで示した秘匿ファイルを送信した。

「お……恩にきると言いたいが……危機が去ったわけでは……」 

「おいおい、いつまで人に頼るんだよ。無能な王様。あんたが煽って始めた事態だ。自分で収拾して当然だろうが!それとも何か?これ以上自分の無能さを俺に知らせるほどのマゾなのか? 」 

凄みを効かせた嵯峨の一言に王は言葉もなく静かに目を閉じた。だが嵯峨はさらに言葉を続ける。

「それと……同盟軍事機構の部隊長としての義務を果たしたシン大尉。アイツは俺の身内だ。今、背教者扱いで自宅が包囲されてるだろ……もしその群衆が敷地に一歩でも踏み入ってみろ。その脂だらけの首をもらいに参上するからな……それだけじゃ不十分だな。周りにいる王族連中の身分の保障も出来なくなる……意味は分かるな? 俺の能力はよくご存じだろうから……」 

嵯峨のとどめに王の脂で膨張した顔はそのまま画面からずり落ちた。

「あ……安心したまえ! すぐに暴徒は鎮圧する! それだから頼む! なんとか仲介を……」 

「仲介? だから何度も言ってるじゃないですか。俺は同盟の一支部機関の隊長。遼南の全権はアンリのものだ。俺がどうこう出来る話じゃない」 

冷淡な一言。王はただ連絡を入れる前よりも事態が悪くなったことだけを悟った。

「それなら……そちらに連絡を入れる」 

「おう、好きにしてくれ。俺の関知することじゃねえよ」 

投げやりな嵯峨の一言に顔を真っ赤にして怒りを静めながら王は通信を切った。


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