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遼州戦記 保安隊日乗 殺戮機械が思い出に浸るとき 88

「次のカーブを曲がれば分かることだ……それと西園寺。レンタカーの会社のデータベースにハッキングして掴んだ情報を全部話せ」 

素早くハンドルを切りながらカウラが呟いた。その言葉の直後に針葉樹の深い森が一瞬で途切れて大きな丸裸にされた丘が目に飛び込んでくる。

「車種は小型のファミリーカー。四駆じゃ無いからそれほど本格的な装備の奴じゃ無いと思うけどなあ……」 

今度は開き直ったように銃をホルスターから抜いてスライドを引く。

「要ちゃん……穏便に行きましょうね」 

さすがのアイシャもこれはまずいとばかりに苦笑いを浮かべるが無情にも山の下に置かれた水色のハッチバックの車影は次第に近づいてくる。

「人気がないな……それにしても肝心のグリンは? 」 

「見えるわよ……山の頂点」 

アイシャが指さす先に小指の先ほどの茶色い塊がじっとしているのが誠にも見えた。

「本当に馬鹿だな……丸見えだぞ」 

「菰田が交通規制の偽情報を流している……この車でも確認できるからな」 

「冒険するわね……菰田君も。うちのカラーに染まってきてるってことかしら」 

他人事のように呟くアイシャを一瞥した後、カウラは静かに枯れ草だらけの路肩に車を停めた。目の前には人気のない空色の小型車。どうにもハイキングなどの客が好みそうなはやりの新車だった。

「馬鹿! 早く降りろ! 」 

「椅子を蹴らないでよ! 」 

暴れる要に悲鳴を上げながら助手席からアイシャが転がり出る。素早く要は銃を構えて飛び出すとそのまま背の高い枯れ草の間の獣道の中に消えていった。

「追わないと! 要ちゃんは撃つわよ」 

「軍用義体と追いかけっこか? 無茶を言う」 

苦笑いを浮かべてカウラはゆったりと構えつつエンジンを止めてからドアを開けた。高原の冷たい空気が車内に流れ込んできて誠は厚着をしてこなかったことを後悔した。

「それにしても冷えるわね……」 

アイシャも運を天に任せたというようにゆっくりとそのまま要の消えていった獣道に入り込む。

「荷物は無いか……おそらく女性だな……しかも一人」 

レンタカーの運転席を覗き込んでいるカウラ。確かに見る限り荷物のようなものは無く、運転席側のホルダーにだけジュースの空き缶が刺さっているのが誠にも確認できた。

「カウラちゃん! 早く! 」 

叫ぶアイシャの声に思わず誠に向き直り苦笑いを浮かべるとそのままカウラは空色のレンタカーから離れて獣道へと踏み込んでいく。誠もまた仕方なくその後に続いた。


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