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遼州戦記 保安隊日乗 殺戮機械が思い出に浸るとき 91

「あ! でも連絡はさっき入れましたよ……班長も本当に困った顔してましたけど……」 

自分の不始末に謝るレベッカだが、その島田を指す『班長』という言葉を聞くとアイシャと要は顔を見合わせてにんまりと笑った。

「おう、確かに島田には連絡は行ってるみてえだなあ……通信記録もある。島田も……すぐに本部とやらに連絡はしているな」 

脳内の端末を確認して要が呟く。アイシャはにこやかな笑みをレベッカに向ける。レベッカは先ほどの慌てた表情からようやく落ち着いてきたようでまるで他人事のようにことの顛末を眺めているシャムの隣で大きなため息をついた。

アイシャはジャンバーから携帯端末を取り出すと笑顔のまま菰田に連絡を入れた。

『あ! 』 

茶を啜っていた菰田の顔が誠が覗き込んだアイシャの端末の中で次第に青ざめていく。

「菰田ちゃん……いいえ、本部長とでも呼んだ方が良いかしら……」 

『シンプソン中尉のことでしたら……忘れてました! 済みません! 』 

ごたごた言うだけ無駄だと諦めた菰田は素早く頭を下げてみせる。ただ相手はアイシャである。にこやかな笑みを浮かべながらもその表情は怒りで青ざめているように誠には見えた。

「良いわ……後で折檻だから」 

一言言い残してアイシャが通信を切る。その様子に満足げに頷く要。一方、カウラは最後のサンドイッチを飲み下したシャムのところへと足を向けていた。

「ずいぶんと悠長な態度だな」 

「別に悠長なんかじゃ無いよ」 

それまでののんびりとした表情がすぐにシャムから消えた。そのまま彼女は断崖絶壁の向こうに目をやる。しばらく続く針葉樹の森。それも限りがありそのまま落葉樹の冬枯れに飲み込まれていくのが見える。

「思い出でも探しに来たか? 」 

「要ちゃんは……まあそんなところかな」 

冷やかす要に苦笑いを浮かべるシャム。その姿はどう見ても小学校高学年という感じだが、浮かんでいる憂いの表情には年輪のようなものが感じられるように誠には見えた。

「吉田少佐の失踪……それなりにショックだったんだな」 

カウラの言葉にしばらく彼女を見つめた後、静かにシャムは頷いた。

「単純にショックという訳じゃ無いんだけど……なんだかせっかく手に入れた何かをなくしちゃったような感じというか……ああ! なんだか説明できなくてわかんなくなっちゃうよ! 」 

自分の語彙の少なさに叫んで気を落ち着けようとするシャム。そんな主を静かに心配そうにグレゴリウスは見下ろしていた。


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