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遼州戦記 保安隊日乗 殺戮機械が思い出に浸るとき 97

『口では他人事を気取るが……』 

「本心なんだけど」 

『あなたが本心を口にする? その方が不自然だ』 

吉田の言葉に嵯峨は満足げに頷くともみ消したタバコを取り上げる。そして丁寧に先を元に戻してライターで火を付けた。

「それじゃあ俺が我等が騎士殿に期待していることもお見通しって訳だ」 

『クバルカ中佐なら上手くやりますよ』 

あわせたような言葉に嵯峨はがっくりと肩を落とす。

「ああ、アイツの期待は今回は07式だからねえ……ホーン・オブ・ルージュの出撃はねえよ」 

『え? 』 

人工音のあげた突然の驚きの声に嵯峨は満足げに頷く。

「我等が騎士殿とはすなわち遼南青銅騎士団団長、ナンバルゲニア・シャムラード中尉のことだ。当然副団長も協力してくれますよね? 」 

当然のように笑みを浮かべる嵯峨。人工音は押し黙り沈黙が続く。

『あなたは……菱川と敵対しますか? 協力関係を築きますか? 』 

主導権を握られまいと苦渋の決断を迫るように発せられる人工音。ただ苦々しげに嵯峨は臭い煙を肺に流し込む。

「それがお前さんの協力条件か……俺の答えはどっちとも言えないって奴だが……敵対できるほど俺の足下は盤石じゃねえし、無条件で協力するほどお人好しでも無い……そんな選択無意味だな」 

あっさりと質問をかわされて再び吉田の言葉は止まった。嵯峨はただ人工音が響くのを待ちながらゆっくりとタバコをふかす。

『俺は……シャムに従いますよ……それが……』 

「おっと! 皆まで言うなよ。俺は野暮天にはなりたくねえから」 

嵯峨はそれだけ言うと静かに端末の電源を落とした。

「これでこちらのカードは揃った……あとは俺にツキがあるかどうかだが……」 

ちらりと部屋の脇を見る。並んでいる仏像、その一つ帝釈天の涼やかな目に嵯峨の瞳が引きつけられた。

「四日後は塀の中か……片付け……しようかねえ」 

気が進まないというように眉をぴくりとふるわせた後、嵯峨は隊長の椅子から重い腰を持ち上げることになった。


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