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遼州戦記 保安隊日乗 殺戮機械が思い出に浸るとき 99

「隊長! 」 

「……これは……効くわね」 

倒れていたのは一瞬で、安城はゆっくりと頭を起こすと穏やかに笑いながら椅子に座り直した。

「驚かせないでくださいよ……実際これで公安のハッカーが四人廃人になったんですから」 

「それほどヤワじゃ無いわよ。一応、その流れから予想して防壁を張っといたから……でも個人的なサイトにまでこの警備網。ほとんど狂気の沙汰じゃないの」 

「まあ俺も引っかかりかけましたから……油断も隙も無いとんでもない野郎ってことだけはこれで分かりましてね。元々傭兵なんて違法な職業に就いている奴だ。まともな神経じゃないのは予想してましたが」 

静かに岡田がキーボードを軽く操作すると部屋中のシステムが回復する。そしてそのまままじめに座り直した岡田は慣れた手つきでキーボードを叩き続けた。

「でも傭兵と言えば腕を売る仕事でしょ? 嵯峨さんが目を付けてからだって彼はいくつか仕事は請け負ってたはずよ」 

「そうなんですよ……日の当たる人間には見えなくても日陰の人間には見える独特の気配というか……空気というか……存在感。俺もこの仕事でそう言う危ない連中には出くわしてきたが大体がとんでもない自己顕示欲の塊でその癖妙に用心深いところがある。なら……」 

今度は安城の隣には極彩色縁取りの画面が映し出された。映る画像は裸の女が男達に囲まれてもだえる姿、安城は表情を変えずに振り返った岡田に目を向ける。

「アングラサイト経由……でもそれこそ公安のお手の物じゃないの。こっちで調べが付くならあなたのところに話は来なかったんじゃないの? 」 

「俺も最初はそう思ったんですが……念のためってところでね。こっちの世界で吉田の痕跡をたぐったところで何もつかめないのは分かってはいたんですが……何事も試してみるもんですよ」 

そう謎をかけると岡田は再びキーボードに向かい片隅の黒い四角をクリックした。安城が予想したとおりその筋の人間だけが入れるようなパスワードを要求する胸ばかりが強調された女のイメージが表示される。岡田は何も言わずにパスワードを入力し、画面を切り替える。

「ここから入ると租界のシステムに侵入できるっていうメリットがありましてね」 

「租界? それは穏やかじゃないわね。でもそれこそ警察関係者なら誰でも見ているんじゃないの? 」 

「そう、警察関係者は誰もが見ている。そして警察関係者を監視する租界の連中もよく出入りするシステムというわけですよ……」 

岡田の言葉の意味が分からずに安城はただ切り替わっていく画面を眺めていた。そして十二回目のセキュリティーを突破した辺りで岡田は画面を固定した。

黒い背景にただ検索用の窓があるだけの質素な画面。

「ずいぶん変わったところに出たわね」 

興味深そうに安城が身を乗り出すのを見ると岡田は静かに『吉田俊平』と入力してエンターキーを押した。


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