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遼州戦記 保安隊日乗 殺戮機械が思い出に浸るとき 117

「おお! これぞ我が職場の有様ぞ! 」 

「要ちゃん……嘘っぽいのも大概にして」 

保安隊の駐車場に降り立ち、大きく伸びをする要にアイシャが突っ込みを入れる様を誠はただ苦笑いで見つめていた。実際一週間は長かった。たしかにその間の給料が出ないことは痛いと言えば痛い。誠もいくつか予約を入れていたプラモデルのキャンセルをしなければならなかったほどだった。

だが、それ以上に雰囲気がまるで変わっていた。

「まるで廃工場だな」 

運転席から降りたカウラの言葉で誠は自分の違和感の正体を見極めた。

ともかく人の気配がしなかった。

いつもならアサルト・モジュールの部品を運ぶための大型クレーンのうなりが響いてくるハンガーが沈黙で満たされている。

「まあ、良いじゃねえか。行くぞ! 」 

すっかり上機嫌の要はそのままいつものようにハンガーに向かった。いつもなら目にするランニングや銃器の訓練のためにライフルを背負った警備部の面々の姿もそこには無かった。ただ誠達の背中を見つめるだけの最低限の歩哨の視線だけがある。

「本当に……演習前って感じね」 

「いつもこうなんですか? 」 

「貴様は初めてじゃないだろ? 」 

カウラに言われて配属直後の『近藤事件』前後の出来事を思い出してみた。あの時も同じようにアステロイドベルトでの演習を前にしての沈黙があったような気がする。

「いやあ、普段を知らなかったもので……」 

「まあそんなものよ……」

アイシャがそのままハンガーの半分開いた扉を通りすぎるのを見て誠も後に続いた。

がらんとした空虚な空間がそこにはあった。奥に見えるいつもは誠達の05式に隠れるようにひっそり存在している漆黒の嵯峨の愛機の『カネミツ』の姿が見える。

「きれいなもんだねえ……すべては新港に搬送済みか! 」 

要の言葉が人気のないハンガーに響いた。

「分かり切ってること今更言っても……それにしてもクバルカ中佐の『ホーン・オブ・ルージュ』は演習参加機体に入ってなかったけど? 」 

「ああ、あれはオーバーホールに入るそうだ。元々手がかかる機体だからな。シャムの『クローム・ナイト』と整備時期がかぶるとまずいだろ? 」 

「へえ……そうなんだ……」 

カウラの言葉にアイシャが意味ありげに呟いた。


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