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遼州戦記 保安隊日乗 殺戮機械が思い出に浸るとき 119

階段を上る間も物音も気配もなかった。

「技術の連中は新港か……」 

「運行部はどうなんだ? 」 

要の言葉にアイシャは曖昧に頷く。

「まあうちはシミュレータがあるしねえ……それに新港には機関部のスケベ連中がいるから近づかないわよ」 

誠はすぐにどろどろした女性関係を山ほど抱えた機関部の面々の顔を思い出した。昔からもてるという言葉とは無縁だった誠にはあまり想像の付かない世界。面倒そうだなと思いながら管理部のいつものように忙しく働いている様子の見える二階へとたどり着いた。

「さっさと着替えるわよ……まあ誠ちゃんは一人で男子更衣室だけど」 

廊下を足早に歩きながらのアイシャの一言。まあ誠はいつものことなのでただ曖昧に頷きながらその後ろについて歩く。

確かに人通りは少なくなっている。機動兵器を運用する部隊がどれほど技術面での支援を受けているか、そしてその支援のためにどれほどの人員が割かれているのか、それを誠はしみじみと実感した。

「じゃあ誠ちゃんはここで」 

誠は男子更衣室の前に置き去りにされる。中に入ってもやはりひんやりとした空気が中を占めているばかり。いかに多くの技術部の面々がこの部屋を利用していたのかを実感しながら誠は自分のロッカーを開いた。

慣れた手つきでジャンバーを脱いでセーターをハンガーに引っかけ、カーキーグリーンのワイシャツを身にまとい、ワンタッチ式のネクタイを首に巻く。

「ふう……」 

いつもならそこで島田や菰田の突っ込みが入るところだった。その島田はたぶん新港で05式の運搬作業の監督をしていることだろう。菰田は先ほど端末のモニターを睨み付けながら首をひねっている様を見たばかりだった。

「なんだか寂しい感じなんだな」 

それだけ言うと誠はスラックスを素早く履き、ベルトを無造作に締め、ジャケットを羽織って略章の位置を直すと下士官用の制帽を被って廊下へと出てみた。まだ女性陣の姿は無い。

「このまま一人で隊長室か……」 

「そりゃあストレスだわな」 

突然足下から声をかけられて驚いて飛び跳ねる。

「おい……そんなに驚かれても困るんだけど」 

苦笑いを浮かべているのは部隊長の嵯峨本人だった。

「隊長……暇なんですか? 」 

「まあね……鑑定を頼まれてる品物は全部東都の別邸に送っちゃったし……さすがにこれから任意の取り調べを受ける人間が銃のカスタムなんて……する気も起きないしね」 

そう言うとそのままよたよたと健康サンダルの間抜けな音を立てながら隊長室へと歩いて行った。


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